たけしが師匠と慕った深見千三郎と浅草サンバの伴淳三郎

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 最後は、松倉さんが忘れられない芸人の話だ。舞台を中心に活躍し、ほとんどテレビに出なかったので知名度は低いかもしれないが、深見千三郎はビートたけし萩本欽一らが「師匠」と慕った浅草芸人である。

「ビートたけしが『師匠、芸人になりたい』と直談判した相手です。彼も晩年はタケを目にかけていた。タケは唯一、深見千三郎のキレのあるツッコミに太刀打ちできたんじゃないかな。のちのタケのツッコミは、彼にそっくりなんですよ。タケは彼の芸をこう記しています。〈笑われてやるんじゃない、笑わせてやるんだ〉と。まさに、この気概が浅草芸人の本質なんですよ」

 事務所には「深見をテレビに出したい」という依頼がずいぶんあったというが、本人は首を縦に振らなかった。浅草六区の芸の街を歩いていれば、どこからともなく「師匠!」と声が掛かる存在だったが、浅草から出ることはなかった。

「タケが外に出て勝負したいと言ったときは、ショックを隠しきれない様子でした。自分の芸を継いでくれると期待していたのでしょう。その後、浅草を出ていく欽坊には〈みんな浅草を出ていっちゃったから、俺がここを守るよ〉と話していたそうです。そんな深見は、1983年2月2日に一人暮らしの松倉荘で亡くなりました。59歳でした。深夜まで飲んで帰ってきて、布団の中でたばこを吸って寝ちゃって焼死したんだ。“いずれ誰かに焼いてもらうんだから待ってりゃいいのに”なんて言われましたね。“伝説の浅草芸人”でした」

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