渥美清<前編>“飴屋横丁”で働き身につけた寅さんの売り口上

公開日: 更新日:

 浅草は映画の街だった。フランス座があった台東区浅草公園六区は映画館が並ぶ歓楽街で、毎週火曜日、新作映画の封切りがあった。

「それを全国の興行師さんが見にきて、上映するかどうかのバロメーターにするわけです。日活の堀久作さんや大映の永田雅一さん、東映の大川博さんといった各映画会社の社長たちが小屋の前に立ってね。どこの劇場に人が入るか、チェックしていたのを覚えています」

 当時人気だった石原裕次郎の作品や、米国から直輸入の洋画も公開していた。東洋興業の社員や所属コメディアンは入館パスを持っていたので、空き時間には見にいっていたという。

「おかげで将来は自分も映画や舞台に出たいっていうコメディアン志望も、ウチに来るわけですよ」

 映画「男はつらいよ」シリーズの寅さんとして国民的俳優になった渥美清も、浅草で芸を磨き、巣立ったひとりである。

「もとはウチのコメディー俳優で、そのときから大人気でした。コメディアンをやりながら、中央から注目されるようになったんです。マスコミにウワサが広がって、映画デビューまでしたわけです」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…