52歳の筆者もやってみて分かった アルバイトが定年後の楽しさに結びつく本当の意味
大谷翔平の「二刀流」ほどではないが、本職がある人もそれとは別のアルバイトをすると社会の見方が若干変わるし、何より役立つことがいっぱいある。私(52歳)の本職はライター・編集者だが、毎週1回、佐賀県唐津市の飲食店でバイトをしている。唐津焼でコーヒーや酒が飲め、つまみも用意する店だ。定年を目前に控えた私と同世代くらいのサラリーマンで、セカンドライフを考えるなら、とりあえずバイトで副業にチャレンジしてみてはいかがだろうか。もちろん、会社の許可を取り、かつ土日や有給休暇を利用してのことだ。
私のバイト経験で大きかったのは、目の前の人の気持ちや空気を読むようになったことである。私はこれまで原稿の納品相手や取材相手はいたものの、基本的には個人プレイで生きてきたから、この経験はありがたい。
飲食店で目の前に人がいると、その人が楽しそうにしているのか、それともイライラしているのかと頭を巡らせ、本当は何をしゃべりたいのか、といったことをある程度推測する。最初のうちは、その推測が外れても、繰り返すうちに常連客なら人柄が見えてくるし、一見客でも大体把握できるようになった。相性のいい常連客同士なら好き放題しゃべってもらう一方、相性があまり良くない人が来たら、距離をとったカウンター席に誘導する。観光客でどのように振る舞っていいのかが分からない人には「どうぞ~、カウンターでもテーブルでもお好きな方へ~」と臨機応変に対応できるようになったのである。
そうやって接客していると、多くはカウンターに来る。この店は常連が多く、観光客にもしゃべりかけ、皆が楽しく会話をし、次々と酒を注文してくれる。そういった「人あしらい」「客同士の相性」などを学ぶことができたのだ。それがバイト経験のメリットの1つである。
■周りの人をイライラさせない行動を学べたことも大きなメリット
さらには、コーヒーを頼まれた後に生ビールの注文を受けたとしよう。生ビールはすぐに提供できるものだからといって、もしコーヒーより先に生ビールを提供したら、コーヒーを頼んだ客からすれば「なんで先に注文したオレのコーヒーより生ビールの方が早いんだ。プンプン」という気持ちになるかもしれない。いろいろな注文を受けるうちに、提供するときの気配りも身についたのである。
話をコーヒーと生ビールの注文に戻すと、すぐにミルを回し、コーヒー豆を挽いている姿を意識的にコーヒーの注文客に見せるようにする。その上で、ガスでお湯を沸騰させ、ある程度時間がかかるドリップの作業の際にジョッキに生ビールを注いで、「お待たせしました~」と生ビールを持ち運ぶ。生ビールを提供し終えて戻ると、ドリップも完了していて、コーヒーを提供する。そんな対応なら、コーヒーを注文した客も「順番を抜かされた」とは思わないだろう。客にイライラさせる状況を未然に防ぐことができるのである。周りの人をイライラさせない行動を学べたことも、大きなメリットだ。


















