著者のコラム一覧
中川淳一郎編集者・PRプランナー

1973年生まれの編集者・PRプランナー。多数のウェブメディアの記事にかかわる。日刊ゲンダイ「週末オススメ本ミシュラン」担当。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『それってホントに「勝ち組」ですか?』など。

52歳の筆者もやってみて分かった アルバイトが定年後の楽しさに結びつく本当の意味

公開日: 更新日:

 大谷翔平の「二刀流」ほどではないが、本職がある人もそれとは別のアルバイトをすると社会の見方が若干変わるし、何より役立つことがいっぱいある。私(52歳)の本職はライター・編集者だが、毎週1回、佐賀県唐津市の飲食店でバイトをしている。唐津焼でコーヒーや酒が飲め、つまみも用意する店だ。定年を目前に控えた私と同世代くらいのサラリーマンで、セカンドライフを考えるなら、とりあえずバイトで副業にチャレンジしてみてはいかがだろうか。もちろん、会社の許可を取り、かつ土日や有給休暇を利用してのことだ。

 私のバイト経験で大きかったのは、目の前の人の気持ちや空気を読むようになったことである。私はこれまで原稿の納品相手や取材相手はいたものの、基本的には個人プレイで生きてきたから、この経験はありがたい。

 飲食店で目の前に人がいると、その人が楽しそうにしているのか、それともイライラしているのかと頭を巡らせ、本当は何をしゃべりたいのか、といったことをある程度推測する。最初のうちは、その推測が外れても、繰り返すうちに常連客なら人柄が見えてくるし、一見客でも大体把握できるようになった。相性のいい常連客同士なら好き放題しゃべってもらう一方、相性があまり良くない人が来たら、距離をとったカウンター席に誘導する。観光客でどのように振る舞っていいのかが分からない人には「どうぞ~、カウンターでもテーブルでもお好きな方へ~」と臨機応変に対応できるようになったのである。

 そうやって接客していると、多くはカウンターに来る。この店は常連が多く、観光客にもしゃべりかけ、皆が楽しく会話をし、次々と酒を注文してくれる。そういった「人あしらい」「客同士の相性」などを学ぶことができたのだ。それがバイト経験のメリットの1つである。

■周りの人をイライラさせない行動を学べたことも大きなメリット

 さらには、コーヒーを頼まれた後に生ビールの注文を受けたとしよう。生ビールはすぐに提供できるものだからといって、もしコーヒーより先に生ビールを提供したら、コーヒーを頼んだ客からすれば「なんで先に注文したオレのコーヒーより生ビールの方が早いんだ。プンプン」という気持ちになるかもしれない。いろいろな注文を受けるうちに、提供するときの気配りも身についたのである。

 話をコーヒーと生ビールの注文に戻すと、すぐにミルを回し、コーヒー豆を挽いている姿を意識的にコーヒーの注文客に見せるようにする。その上で、ガスでお湯を沸騰させ、ある程度時間がかかるドリップの作業の際にジョッキに生ビールを注いで、「お待たせしました~」と生ビールを持ち運ぶ。生ビールを提供し終えて戻ると、ドリップも完了していて、コーヒーを提供する。そんな対応なら、コーヒーを注文した客も「順番を抜かされた」とは思わないだろう。客にイライラさせる状況を未然に防ぐことができるのである。周りの人をイライラさせない行動を学べたことも、大きなメリットだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    東大出身の小林政調会長は日本史を学ぶべき「2600年以上続く男系継承」は歴史なのか神話なのか…皇室典範改正で浮かんだ疑問

  2. 2

    Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る

  3. 3

    暫定措置は7月で終了へ…「資格確認書」「マイナ保険証」迫るタイムリミットの対処法

  4. 4

    北陸新幹線の延伸ルート「桂川案」に決定でも難航必至…問題解決の奇策「フリーゲージトレイン」の可能性を考えてみた

  5. 5

    今も続く「皇室典範」は出来の悪い法律…男の側に不妊の原因を求める発想がなかった時代の産物だ

  1. 6

    高市首相が今上陛下を「こんじょうへいか」と呼んだのは「不敬」なのか?

  2. 7

    司法試験へのパソコン導入で「変わること」「変わらないこと」

  3. 8

    オランダ訪問の晩餐会での天皇のスピーチと雅子皇后…"旧宮家"に求められる「皇室外交」と担い手の難しさ

  4. 9

    松下洸平「電撃婚」のお相手も?「プロ彼女」の“日陰”すぎるリアル

  5. 10

    『スピノザの診察室』マチ先生が白衣に忍ばせた「濃茶の金平糖」 1847年創業、AIでも再現できない職人技とは

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    目黒蓮不在のSnow Man、ラウールが"次期エース"へ台頭か「めめラウ」が与え合う影響

  2. 2

    元関取の豊山亮太さん 4年前に土俵去るも、老人ホームの介護士をしながら国家試験目指し猛勉強中

  3. 3

    「愛子天皇」阻止が直撃…高市内閣「支持率」暴落、「不支持」と逆転で首相も応援団も大焦り

  4. 4

    松尾雄治さん(1)ゴルフ場で意識を失う…「気が付いたら病院のベッドでした」

  5. 5

    東京維新が党の看板政策「身を切る改革」まさかの“廃棄“ あまりにもフザケた理由

  1. 6

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 7

    W杯で横行する「偽ユニ」商売の裏側 一部アルゼンチン人が米国の超物価高で編み出したハイテク“錬金術”

  3. 8

    東大出身の小林政調会長は日本史を学ぶべき「2600年以上続く男系継承」は歴史なのか神話なのか…皇室典範改正で浮かんだ疑問

  4. 9

    松本人志"めちゃめちゃ癌"の心配される健康管理と伸び悩む「DOWNTOWN+」の今後

  5. 10

    安青錦が丸ごと吐露…相撲との出会い、日本語習得、「腹違いの兄貴」