寅さん映画は日本の女優史 マドンナオール出演の百花繚乱
正月興行に寅さん映画が帰ってきた。「男はつらいよ お帰り 寅さん」だ。かつて年末や正月になると、多くの人が寅さん映画を見るために映画館に足を運んだことを思い出す。いわば、このシリーズは年末年始の風物詩でもあった。
もちろん、主演の渥美清さんは24年前に亡くなっている。今回は、甥の満男(吉岡秀隆)と初恋の相手であったイズミ(後藤久美子)の話を軸に、過去の寅さん映画の場面が合間に挿入されるという構成だ。シリーズを見ていた人は当然だが、そうではない人も、いろいろな視点から楽しめる極上の作品だといえる。
筆者は、寅さんの恋の相手となるマドンナが登場するシーンに胸を熱くした。限られた時間のなかで、過去のマドンナ全員が登場したのには正直驚いた、皆、美しい。輝くような表情をしている。女優だから当たり前とはいえ、彼女らの一瞬の場面を見るだけで涙がこぼれ落ちる。それは日本映画史を支えた彼女たちの華やかな雰囲気が画面からひしひしと感じられるからに他ならない。