追悼・大林宣彦監督 貫いた反戦平和とダンディズムの精神

公開日: 更新日:

■「やりたい仕事をすれば食えないのは当たり前」

 映画によって、世界を平和にしてみせる。それは黒沢明監督ら先輩から受け継いだ志で、ジョン・フォードやウィリアム・ワイラー、フランク・キャプラら先人の続きをやってきたという黒沢からバトンを受け継いだように、映画の伝統、役割として、次の世代にも継承していって欲しい。そんな「遺言」を後輩の岩井俊二監督らに伝えていた。

 遺作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」で製作総指揮の映画プロデューサー、奥山和由氏によると、大林さんは人生の幕引きを前にしても「よおい、スタート、はいカット」などと寝言を言っていたという。

 敗戦後、日本は復興の道を間違え、先人が残してくれた美しい故郷、山河や緑、海、空を汚し、モノやカネに変えていった。映画は時間つぶし、暇つぶし、時間の消耗品へとなり下がっている。そう言って「僕も含めて、どうして人間は賢くならなかったのでしょう」と振り返ってもいた。伝えるべきことが伝わっていないという忸怩たる思いを抱えて逝ったのかも知れない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    落合博満さんと初キャンプでまさかの相部屋、すこぶる憂鬱だった1カ月間の一部始終

  2. 2

    “芸能界のドン”逝去で変わりゆく業界勢力図…取り巻きや御用マスコミが消えた後に現れるモノ

  3. 3

    渡辺謙63歳で「ケイダッシュ」退社→独り立ちの背景と21歳年下女性との再々婚

  4. 4

    参政党は言行一致の政党だった!「多夫多妻」の提唱通り、党内は不倫やら略奪婚が花盛り

  5. 5

    悠仁さま「友人とガスト」でリア充の一方…警備の心配とお妃候補との出会いへのプレッシャー

  1. 6

    伊東市長「続投表明」で大炎上!そして学歴詐称疑惑は「カイロ大卒」の小池都知事にも“飛び火”

  2. 7

    大阪万博は鉄道もバスも激混みでウンザリ…会場の夢洲から安治川口駅まで、8キロを歩いてみた

  3. 8

    早場米シーズン到来、例年にない高値…では今年のコメ相場はどうなる?

  4. 9

    中島歩「あんぱん」の名演に視聴者涙…“棒読み俳優”のトラウマ克服、11年ぶり朝ドラで進化

  5. 10

    米価高騰「流通悪玉論」は真っ赤なウソだった! コメ不足を招いた農水省“見込み違い”の大罪