著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

金子ノブアキ演じた藤田嗣治とオペラ歌手・三浦環を結ぶ線

公開日: 更新日:

 だが、実際の環と藤田が欧州で出会っていたかとなると、いくら資料を調べても、接点を見つけることはできなかった。ただ、顔を合わせる機会はなくても、藤田が環の存在をいち早く知っていたのは想像に難くない。藤田よりずっと先に表舞台に登場しているからだ。

 ロンドンのオペラハウスで環が初めて蝶々夫人役を演じたのは1915年。たいへんな喝采を浴びた。そのころ、パリのモンパルナスで暮らしていた藤田は困窮にあえいでいた。第1次世界大戦の影響で日本からの送金が途絶えてしまったのだ。寒さをしのぐために、絵を描いたキャンバスを燃やして、暖をとったこともあったという。2年前に欧州に来てから、まだ、藤田の絵は1枚も売れていなかった。

「エール」の中では、もしこのころに2人が出会っていたらと想像しながら、筋立てが練られたのだろう。大舞台のヒロインに抜擢された恋人に、無名の絵描きが嫉妬する。ひとつ間違えば陳腐な話におちいってしまうところを、柴咲の透き通るような美しさと、抑えた金子の渋い演技が視聴者を引きこんでいく。

 なお、現実の藤田は2年後の1917年、初めて絵が1枚、売れると、徐々に注目を集めだし、パリで彼の名前を知らぬ者はいなくなった。個展を開くたびに黒山の人だかりがでるようになり、時代の寵児となっていくのである。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渋野日向子×テレ東イケメンアナ“お泊り愛”の行方…女子プロは「体に変化が出る」とも

  2. 2

    『SHOGUN 将軍』シーズン2撮影中の榎木孝明さん「世界的な時代劇映画のプロデュースに関わりたい」

  3. 3

    ヘタクソ女子プロはすぐバレる!ツアー史上最短「98ヤード」の15番のカラクリ

  4. 4

    サバンナ高橋茂雄いじめ謝罪のウラ… 光る相方・八木真澄の“ホワイトナイト”ぶり 関西では人柄が高評価

  5. 5

    《タニマチの同伴女性の太ももを触ったバカ》を2発殴打…元横綱照ノ富士に大甘処分のウラ側

  1. 6

    あの細木数子をメロメロにさせて手玉に…キックボクサー魔裟斗のシタタカさ

  2. 7

    SixTONESが日テレ「24時間テレビ」出演発表で次に“熱愛”が撮られるメンバーとファンが喜べない事情

  3. 8

    犯人探しはまだまだ続く? 中山功太案件“解決”で強まる「パンサー尾形の件は誰なの?」の疑問

  4. 9

    小結高安を怒らせた? 横綱豊昇龍が初日黒星でいきなりアクシデント→休場の自業自得

  5. 10

    消えないナフサ供給不安、現場にはモノ届かず…高市首相4.16明言「目詰まり解消」はやはり大ウソだった