著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

笑福亭仁鶴師匠はかなりの読書家だった 喉の手術は23回も

公開日: 更新日:

 親しくさせていただくようになってから、ある特番で「吉本クイズ」をやることになり、会議で「仁鶴師匠は何回喉の手術をしたか?」というのが問題の候補にあがりました。若い時からの酷使で喉を痛め、何度も手術をされていることは業界内では有名な話でしたが、「さすがに失礼やし、誰が聞くねん?」という話になり、私にお鉢が回ってきたのです。

「師匠実は……」といきさつをお伝えすると「ようそんなこと聞くな? アホちゃうか……」と笑いながら「かまへんけど、そんなん問題になるんか?」「10回以上は(手術を)されていると伺ってますので、舞台にかける執念が伝わると思います」。ホントにそう思っていたので、そのまま伝えました。

「う~ん」としばらく考え、「22、23回はしてるかな」。あまりの多さに思わず「22、23回ですか!?」と聞き返すと「それぐらいはしてるな、せやから昔出てた高い声が出えへん……ほな23回ということにしとこ。そんでええか?」といたずらっぽく目を見開かれた笑顔をいまでも覚えています。

 ここ数年、舞台には出ておられませんが、舞台袖から高座を見ると、子供の頃、テレビで見ていた高音で早口の仁鶴師匠ではなく、落ち着いた口調と独特の間合いで話される舞台の姿を見ているだけで、思わず口元が緩んでしまう。

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