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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

赤塚不二夫編<5>漫画家に近隣 赤塚家は来客にやさしかった

公開日: 更新日:

 対照的に庶民的なラーメン屋のお兄ちゃんはユニークな存在だった。奥さんと2人で店を切り盛り。来たくてもなかなか来れない。そこで「出前取ってやろう」と先生が愛の手を差し伸べる。誰が食べるわけでもない「ラーメン2つ」の出前を注文。お兄ちゃんはうれしそうな顔して2階の居間に岡持ちを持って入ってくる。そのまま座り込み、軽くビールを一杯飲むと、先生のお小言が始まる。

「なんでお兄ちゃんのラーメンまずいの。どうやったらまずいラーメンを作れるか知りたい」とからかう。お兄ちゃんも「うん」と納得。ラーメン論議が始まった頃に決まって「うちの人に戻るように言ってください」と奥さんから電話が入り、お兄ちゃんは帰っていく。

 ご近所さんよりも先生との付き合いで最長不倒記録保持者がいた。先生が独身を謳歌していた時代、遊びの根城だった新宿の行きつけのバーのバーテンだった、まさるさん。

 新宿の店を閉めた後も東中野の方でバーを開店。常にタクシーで赤塚宅に通いやすい距離にいた。店が終わると駆けつける。先生は「まさる」と呼びつけては、「バカだね、オマエは」と笑いのネタにしていたが、先生も奥さんも気にかけて可愛がっていた。

 いつ誰が来ても気楽に飲めるように赤塚家には何着かのジャージーが用意されていた。仕事帰りに来た人も着替えてくつろげる。心得ていた人は飲む前にジャージーになっていた。来客にやさしい赤塚家だった。 =つづく

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