著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

“雲の上の人”から身近な存在に…ファンの行動も時代で変化

公開日: 更新日:

 芸能人の取材を通して見聞きしてきたのがファン。その行動形態は興味深いものがある。

 初めてファンを目の当たりにしたのは俳優・市川雷蔵だった。歌舞伎役者から俳優に転身。大映専属として「眠狂四郎」シリーズなどで人気を博した二枚目俳優だった。

 端正な顔と内面からにじみ出てくるような男の色気は「雷蔵しか出せない世界」で女性ファンを魅了。勝新太郎・田宮二郎と並ぶ大映の看板スターとなったが、肝がんのため37歳の若さで死去。映画界に大きな衝撃を与えた。

 映画関係者から聞いた話では、「やせ細った顔を誰にも見せたくない」と夫人は夫の顔に掛けられた白い布を最後まで取らなかったという。スクリーンでしか知らなかった雷蔵の魅力を教えてくれたのはファンだった。

 知人が経営する青山のレストランで10人近い女性が食事をしながら歓談していた。大半が着物を着たセレブ風の上品な奥さまらしき人たち。知人に聞くと、ファンの一部が集まってできた「朗雷会」のメンバーの人たちで、命日(7月17日)になると当時、池上本門寺にあった墓にお参りした後、雷蔵の写真や切り抜き記事を見ながら偲んでいた。「こんなに美しい俳優がいたことを知って欲しい」とファンによって語り継がれていくスターだった。

 その時、初めて耳にしたのが「雷様」の呼び方。ファンから様付けで呼ばれる俳優がいることを知った。「杉様(杉良太郎)」「海老様(市川海老蔵)」。変わったところでは、デビュー時から女王様のような貫禄を称して沢尻エリカを「エリカ様」と呼んだ。今では違和感を持たないが、特別な存在として敬意を払う言葉の象徴が「様」にはあると思えた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」