著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

古関裕而が「史上最悪の作戦」のビルマで体験した恐怖

公開日: 更新日:

「エール」第17週では、いったんは召集令状が届いた古山裕一(窪田正孝)だったが、作曲活動での戦争への貢献が認められ、召集解除となる。だが、古山が戦地に行くことを免れたわけではなかった。慰問要員に選ばれたのである。10月12日からの第18週で、古山は激戦地ビルマ(現ミヤンマー)を訪れることになる。

 古山のモデル・古関裕而が特別報道班員としてビルマに派遣されたのは終戦前年の1944年4月。現地では、同年1月からインパール作戦が始まっていた。参加した日本兵の大半が命を落とし、のちに「史上最悪の作戦」とも言われた。

 戦況は悪化の一途をたどっていたが、古関にはまったく伝えられていなかった。逆に、作戦はまもなく完遂するから、急いで現地に行くようにと、せかされたのである。古関は自伝「鐘よ鳴り響け」の中で「私は行きたくなかった」と明かしている。福島の母が病床にあるため、辞退したいと申し出たのだ。しかし、軍部はそれを許さなかった。軍部側は母の病状をすでに調べていて、それほど重態でもなさそうだと、外堀を埋めてしまった。古関はビルマ行きを承知するしかなかった。

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