(21)「どうせ死ぬんだから」…もやもやしつつ、やんわり諭すと…
回復期リハビリテーション病棟での生活が1カ月ほど過ぎた。連日のリハビリのおかげでおかんの体力は徐々に戻ってきている。本人もそれは自覚しているようで、面会に行くたび自宅がどのような状態なのか、大切に育ててきた庭の草花を気に掛ける発言が増えてきた。
言葉の端々に「帰りたい」との気持ちがあることはよくわかっていた。それでも、まだバランスの悪さは残っているし、会話の中で認知面の問題を感じることが増えていた。たとえば、予定表に次のリハビリ開始時間は「16時30分」と書いてあったので、「夕方の4時30分からだね」と確認すると、戸惑いの表情で固まる。
両方同じ時間だよと話すと「あぁ、そう……。なんかおかしいね」と首をかしげ、悲しそうな顔をしながら「どうせ、もう死んじゃうんだから」なんてことまで口にする。そんなこと言うなよ。もやもやした気持ちを抑えつつ、できるだけやんわり諭しながら今後のリハビリについて話を進めてみるが、おかんは暗い顔で黙り込む。
けれど、話題を変えると今までのだんまりが嘘のように乗ってくる。以前の面談で主治医に指摘された「ひとつのことに集中できても、他のことを同時にやろうとすると片方を忘れてしまう」ことが関係しているのだろうか。


















