反トランプで中国と利害が一致「アクアマン」の仰天戦略

公開日: 更新日:

 今でこそ、コロナ禍で米国の映画館の多くがクローズしたため、やむなく唯一復活している中国での興行を優先するケースが増えてきているが、「アクアマン」公開時はもちろん新型コロナ感染症などはなく、北米は世界最大の市場として君臨していた。そうした時代において、中国に先頭車両として牽引してもらうこうした興行戦術は、米メジャーの一角ワーナーとしても初めての試みだったという。

 当時はトランプ時代で米中関係は悪化の一途。そんな中、本作は善悪の対決でなく、かつて友人だった人々が“分断”され、争う話を描いた。主人公アクアマンは悪を倒すのでなく、逆に敵に対して自らの行為をやりすぎだったと謝罪するなど、無敵のスーパーヒーローとは思えぬ姿を見せる。そして2つの対立種族は両者の懸け橋となる混血の子=アクアマンの活躍によって和解を目指すのだ。

「分断から和解へ」というアンチトランプ的なメッセージを、移民社会であるハリウッドはこうして発信し続けてきたのだが、くしくもそれは貿易戦争で劣勢の中国にとっても歓迎すべきものだった。この映画も、中身に中国推しの要素は皆無だが、結果として中国人観客が絶賛。世界で真っ先に支持し、お化けヒットを巻き起こし、本国アメリカの興行さえも主導した。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が

  2. 2

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  3. 3

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    沢口靖子「絶対零度」が月9ワースト目前の“戦犯”はフジテレビ? 二匹目のドジョウ狙うも大誤算

  1. 6

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 7

    大食いはオワコン?テレ東番組トレンド入りも批判ズラリ 不満は「もったいない」だけじゃない

  3. 8

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  4. 9

    後藤真希と一緒の“8万円沖縄ツアー”に《安売りしすぎ》と心配の声…"透け写真集"バカ売れ中なのに

  5. 10

    結局、「見たい人だけが見るメディア」ならいいのか? 「DOWNTOWN+」に「ガキ使」過去映像登場決定で考えるコンプライアンス

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が

  2. 2

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です

  3. 3

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  4. 4

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  5. 5

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  1. 6

    大食いはオワコン?テレ東番組トレンド入りも批判ズラリ 不満は「もったいない」だけじゃない

  2. 7

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  3. 8

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!