本多正識
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本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

海原小浜師匠の強烈な“芸人根性”…心臓発作でも人前では決して弱みを見せない

公開日: 更新日:

■心臓発作でも自力で救急車に…

 救急車を手配し、小浜師匠に「このままでいてください」とお伝えしましたが笑顔で「大丈夫、おおきに」と客席から姿が見えなくなるまでお客さんにも「すんまへんな」と頭を下げながら自分で歩かれるので、誰もがトイレに行く程度にしか見えませんでした。

 ところが、ホールのドアが閉まると同時に、小浜師匠は崩れ落ちるように倒れ、「すんまへんな、貧血やと思いますわ」とおっしゃる。「念のために救急車を呼びましたので」「大そうにせんでもよろしいのに」と笑顔で返すけれど、どんどん顔色が悪くなり、呼吸が乱れてゆきました。ほどなく救急車が到着し、ストレッチャーを劇場内に入れようとすると、小浜師匠は立ち上がり「(自分で)行けます。行けます」と苦しいはずなのに笑みを浮かべて歩かれ、通用口にいる方たちにも軽く笑顔で会釈をしながら自分で十数メートル先の救急車に乗り込まれたのです。

 搬送後、心臓の緊急手術を受けられたので、あの救急車までの距離は尋常な苦しさではなかったはずですが、人前では決して弱みを見せないという強烈な“芸人根性・魂”を見せつけられました。

 その後、回復されて番組でご一緒した時に「あの時はお世話になりましたね」と頭を下げられ、小声で「正直もうあかんと思いましたわー!」と笑顔で話される姿に昭和の芸人さんのたくましさを感じました。

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