著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<26>「病院に運ばれましたが、先ほど亡くなったそうです」

公開日: 更新日:

 ドラマのロケを終えて、撮影場所の聖蹟桜ケ丘から笹塚に向かって車を飛ばした俳優Iは、カーラジオから流れるニュースで、笹塚で火災があったことと身元のわからない女性が亡くなったことを知った。

「矢住代は怖がりだから、さぞ青くなっているだろう」。そう思ったIはアクセルを強く吹かした。しかし、いかんせん年の瀬である。12月28日のこの日、甲州街道は都心に向かう車で混んでおり、なかなか進まなかった。程なくして、Iは街道沿いのガソリンスタンドに車を滑らせた。翌日のスケジュールの件で所属事務所に電話をするためである。公衆電話のダイヤルを回すと事務所のスタッフが慌てた口ぶりで担当マネジャーに代わった。

「明日の予定ですが……」

「そんなことより……いいか、落ち着いてよく聞け。今日の午後、おまえの住むマンションから出火した。火事だ。それで……」

 Iはラジオのニュースが伝えた笹塚の火事が自分のマンションであることと、死亡した身元不明の女性が、恋人の飯野矢住代であることを知った。Iは呆然となった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  4. 4

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  5. 5

    timelesz篠塚大輝“炎上”より深刻な佐藤勝利の豹変…《ケンティとマリウス戻ってきて》とファン懇願

  1. 6

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  2. 7

    国民民主党“激ヤバ”女性議員ついに書類送検! 野党支持率でトップ返り咲きも玉木代表は苦悶

  3. 8

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  4. 9

    波瑠のゴールインだけじゃない? 年末年始スクープもしくは結婚発表が予想される大注目ビッグカップル7組総ざらい!

  5. 10

    アヤックス冨安健洋はJISSでのリハビリが奏功 「ガラスの下半身」返上し目指すはW杯優勝