著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<26>「病院に運ばれましたが、先ほど亡くなったそうです」

公開日: 更新日:

 11月から清瀬市内の織本病院に入院していた矢住代の母の辰子は、「この日、朝から胸騒ぎがして落ち着かなかった」と「週刊平凡」(1972年1月20日号)は書く。マグロの中トロを大皿にのせて矢住代が病室に現れたのは4日前のクリスマスイブ。その後、娘は姿を見せていなかった。「年末だから忙しいんだろう」と気にも留めなかったが、この日に限って辰子はそのことが引っ掛かった。鏡の前に立つと眉間に陰りが出ている。不吉の予兆を感じた辰子は居ても立ってもいられず、方々に電話をかけ始めた。渋谷の自宅アパートにはいなかった。辰子が知る矢住代の友人の自宅にもいない。矢住代が昨年まで居候をしていた音楽評論家の木崎義二の自宅にも電話をかけた。木崎本人は不在だったが、木崎の妻が出た。「悪い予感がする」「胸騒ぎがする」と訴えると、木崎夫人は「私も心当たりのあるところに電話をしてみます」と言った。

 実際何軒か電話をしてみたものの、矢住代はどこにもいなかった。「もしかしたら、最近付き合い始めたIさんの家かも」と木崎夫人は思った。居候を解消してからも時々木崎家に姿を見せていた矢住代は「渋谷のアパートにいないときは、大体ここにいるから」と、Iの自宅の電話番号を木崎夫人に渡していたのだ。ダイヤルを回すと男性が出た。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    砂川リチャード抱える巨人のジレンマ…“どうしても”の出血トレードが首絞める

  4. 4

    日テレ退職の豊田順子アナが定年&再雇用をスルーした事情…ベテラン局アナ「セカンドキャリア」の明と暗

  5. 5

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  1. 6

    中学受験で慶応普通部に合格した「マドラス」御曹司・岩田剛典がパフォーマーの道に進むまで

  2. 7

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  3. 8

    阿部巨人“貧打の元凶”坂本勇人の起用に執着しているウラ事情…11日は見せ場なしの4タコ、打率.153

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  5. 10

    フジ・メディアHD株主総会間近…328億円赤字でも「まだマシ」と思える系列ローカル局の“干上がり”ぶり