著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

上白石萌音がNHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で見せる無敵の明るさ

公開日: 更新日:

 NHKの連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」が始まった。3人の女性で描く100年の物語。ヒロインの第1走者、橘安子(上白石萌音)の登場だ。モネから萌音への「もね」つながりだが、雰囲気は一変した。まずは、その「スピード感」と「明るさ」に拍手だ。

 主演女優が3人いて、放送は半年間。1人当たり2カ月となれば、のんびりしてはいられないのだろう。初日に生まれた赤ちゃんが、2日目でもう14歳になっていた。3日目に運命の人(松村北斗)と出会い、ドラマのテーマである「ラジオ英語講座」も聴き始める。

 4日目は2人で自転車の練習をして、喫茶店でコーヒーだ。5日目のお祭りデートで急接近するが、突然破局の危機。そして最後は遠距離恋愛の始まりを予感させて第1週が幕を閉じた。驚きのスピード展開だったのだ。

 この“超高速仕様”への戸惑いを振り払ってくれるのが、上白石が見せる無敵の明るさだ。思えば、「おちょやん」「おかえりモネ」と、重いものを背負ったヒロインが続いた。安子の少女らしい喜怒哀楽や“フツーの人”感にホッとする。

 先週、ラジオが昭和14年の「ノモンハン事件」を伝えていた。今週は日中戦争が泥沼化する一方で、太平洋戦争への傾斜も進むはずだ。そんな時代を、安子一家をはじめ市井の人たちはどう生きたのか。戦争とラジオと英語の関係にも注目だ。

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