アメリカ人は働きすぎ…Z世代に忍び寄る「燃え尽き症候群」
アメリカ人の就業時間が近年増加傾向にあり、心身の健康への影響が懸念されています。
ウォール・ストリート・ジャーナルで取り上げられたマイクロソフトのデータによると、夜8時以降にオンライン会議をする人は1年で16%増加。メール対応も夜10時ごろまで続き、もはや「終業」の概念は過去のものになりつつあることがわかりました。
その背景にはコロナ禍以降のリモートワークの常態化で、オンとオフの境界が曖昧になったことがあります。またAIの導入や、高関税による景気の翳りを見据えた企業が人員削減を進めており、その結果1人当たりの仕事量が増えているのも大きな原因です。
こうした中で「生き残り競争」も激しくなっています。アメリカの正規雇用は年俸制が一般的で、残業代が支給されないにもかかわらず働き続ける理由には、こうした厳しい状況があるからです。
この風潮は「グラインド・カルチャー」とも呼ばれます。文字通りすり減るまで働き続けることを美徳とする文化で、特にシリコンバレーの成功神話により、過剰な成果主義や自己犠牲が強調されるようになりました。イーロン・マスク氏が「政府効率化省は週120時間労働」と発言したのも象徴的です。