三谷産業がAIを社外取締役候補に…事業のリスクチェックはどこまでできるのか
AI(人工知能)のバーチャルヒューマンが企業の社外取締役として経営を指南する時代がすぐそこまで来ている。金沢市の三谷産業(三谷忠照社長)は今月3日、バーチャルヒューマン制作を手掛けるAww Inc.(東京都渋谷区)と共同開発した「北斗泰山」を2026年6月に新たに設ける「AI社外取締役」候補に内定したと発表した。
「北斗泰山」は地元金沢出身。東洋思想に精通した専門家で、「孫子の兵法」で知られる中国・春秋時代の軍事思想家「孫子」にまつわる知識体系がプリセットされている。風貌も立派な口ひげをたくわえ、大人物をほうふつとさせるが、バーチャルヒューマンであるため会社法上の取締役にはなれない。助言や提言を行うアドバイザーとして、人間の認知限界を超えるパターン認識力と膨大なデータ処理能力を生かし、三谷産業の戦略を支える位置付けだ。
先駆的な「AIバーチャルヒューマン」を社外取締役に起用する三谷産業とは、どんな会社なのか。「化学、情報分野に強みを有する技術集約型商社です。1928年に石炭・コークス、セメント販売をする三谷合名会社の金沢出張所として創業。収益の柱は化学品で、基礎化学品や医薬品原薬に強みを持っています。グループ全体としては、ほかに空調設備工事、住宅設備、情報システム、燃料など幅広い分野を手掛けており、現地グループ企業7社を持つベトナムでは、自動車部品向け金型も生産しています。商社としての調達力に加え、メーカー機能も持ち合わせている点に特色があります」(大手信用情報機関)という。