「ななめ45゜」岡安章介さん下咽頭がんとの闘いを語る

公開日: 更新日:

岡安章介さん(芸人「ななめ45゜」/45歳)=下咽頭がん

「治療を楽しめ。なかなか経験できないことなんだから! メモなり日記なりつけて、芸人として自分の財産にしようよ」

 これは先輩からいただいた言葉です。自分になかったこの発想のおかげで、一気に治療に前向きになれました。

「下咽頭がん」と診断されたのは2020年11月でした。夏から喉の左側にポコッと2~3センチのしこりを見つけてはいたのですが、痛くもないので2~3カ月放置していたところ、食事が喉に詰まるようになってきて、「おかしいな」と思って近所の病院を受診したのです。

 すると、「ここでは検査できないので」と大きな病院を紹介され、その日のうちにその病院に行かされました。鼻からスコープを入れて診てもらったら、すぐに「がんの可能性が高い」と言われ、3日後には精密検査があり、最初に病院に行った1週間後には「下咽頭がん」が確定していました。急展開というか、言い方がおかしいですけど“トントン拍子”でした。

 がんは2つあると言われました。ひとつは喉。これが原発で、もうひとつはリンパ節に転移したものとのことでした。

 頭が真っ白になりました。「もしもがんが声帯にかかっていたら、声帯を切除する可能性もある」と言われたときは、「もうお笑いできないのかな」と不安がよぎりました。

 当時はコロナ禍で、軒並みライブが中止になって、やっとオンラインイベントが始まるという準備段階でした。「まだやりたい!」と強く思ったことを覚えています。

 治療は標準治療です。まず放射線と抗がん剤でがんを小さくして、それでも残っていたら手術で摘出。手術になってもできる限り声帯を残す方向で進めることになりました。

 がんが見つかって10日後から、抗がん剤の投与と放射線治療が同時進行で始まりました。1週間ほど入院して抗がん剤を投与した後、2週間は自宅で静養するというサイクルを計3回。静養中も月~金で通院しました。

 抗がん剤の1クール目は耐えられる気持ち悪さだったのに、2クール目には気持ち悪さの波が大きくなって、3クール目になったら気持ち悪い時間がずっと続く感じ。「気持ち悪さのバリエーションってこんなにあるんだ」と学びましたね。

 幸い頭髪に影響は出ない薬でした。でも、口内炎と味覚障害は起こるかもしれないと言われて、口内炎の薬が出ていましたけど、結局使わずじまい。ただ味覚障害は2クール目から始まって、1カ月半ぐらいは食事をしてもまったく味がしませんでした。ちょうどお正月で家のおせち料理を食べていたとき、大好きな数の子が出てきて、味はしないけれどプチプチの食感を楽しんでいたんです。でも、しばらくして横で数の子を食べた元奥さんが悲鳴を上げたのです。「塩抜きしてなかった!」と……。それまで何も気がつかなかった。そのくらい無味でした。

 抗がん剤3クール、放射線全35回を経過する中で、唯一の希望は診察のたびに「だいぶ小さくなってますね」と驚いてくれる先生のリアクションでした。そして最後は、鼻の奥をスコープでのぞきながら「あれ? がん、どの辺でしたっけ」と先生が僕に聞いたのです。そのくらいペチャンコでわからない状態になって治療は終了。手術は回避されました。

「向こう5年、何もなければ寛解です」と言われたその日は来年2月。もうすぐなので楽しみです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    萩本欽一〈47〉気仙沼ちゃんは民宿4軒経営の大女将に 説教してテレビで夫を募集させた甲斐があった

  2. 2

    阿部慎之助にした「今ならパワハラで即クビ」の指導&落合博満から学んだ仰天トレーニング

  3. 3

    モグライダーともしげが埼玉の中高一貫ミッションスクール聖望学園で打ち込んだアメフト《26年夏番外編》

  4. 4

    千葉秋季大会開幕も専大松戸が「来春センバツを狙う」と宣言できない切実なチーム事情

  5. 5

    萩本欽一〈46〉斉藤清六が泣きながら持ってきた1000万円、追い返そうと思って貯金額を聞いたら驚いた

  1. 6

    広島4番栗原に敵将・落合監督は「四球でいい」と助言を…

  2. 7

    timelesz猪俣周杜「傷害容疑で逮捕」に“ダブルでガッカリ“…ファンの計り知れない失望

  3. 8

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  4. 9

    萩本欽一〈45〉斉藤清六を全国区にした誰も知らない裏話 “弟子入りNG”から評価を一転させたんです

  5. 10

    4度結婚した宇野千代の“不倫”をNHK朝ドラ「ブラッサム」はどう描く?「カーネーション」は真正面から