ウド鈴木“あげまんヘア”誕生秘話 床屋のおじさんに勝手に刈り上げられ…でも仕事が上向きに

公開日: 更新日:

ウド鈴木さん(お笑いコンビ「キャイ~ン」/52歳)

 1月19日に52歳を迎えたお笑いコンビ「キャイ~ン」のウド鈴木さん。芸人として売れるための瞬間は30年来変わらない今の髪形を決めた日? 理髪店で勝手に刈り上げられてしまい、しかし、今でも店主とは付き合いがあるという。苦労時代の秘話を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 芸能界に入ったばかりの時期は見た目で目立つよりお笑いの中身で勝負と考えて、今思えば身のほど知らずでなかなか売れなかったんです。

 中野区に引っ越しした時、すぐ近くに一軒の床屋さんを見つけて、「ここ、どうかなあ」と外からのぞいていたんですよ。そしたらカランコロンと扉が開いて、オールバックの髪にヒゲをたくわえたおじさんが「あんちゃん、さっきから人の店の前でウロウロしてのぞいてるけど、入るのか入らないのか!」と言われ、迫力におされて「入りますっ!」と。

 髪を切ってもらう時に「あんちゃん、何やってんだい?」と話しかけられて。

「芸人の修業中です」

「芸人かあ。その顔はどうにもできないけど、髪形だけはキレイにすることはできる。だからこまめに来い」

「でも、お金がないんでそんなにこまめには来られないです」

「そんなこと言うな。とにかく来い」

「芸人はこれくらいやらなきゃダメ」

 その後行くたびに、ずっとタダでやってくれたんです。ある日、おじさんが「今、考えてる髪形があるんだよ!」とおっしゃって、僕は当時、昼と夜中にバイトを掛け持ちしていて、その日は眠かったから「そうなんですか」と聞き流して、そのまま眠ってしまったんですよ。それで起きたらサイドが剃られた、今の頭になってたんです!

「なんだこりゃ!」と僕。

 おじさんは「どうだ、いいだろう。芸人はこれくらいやらなきゃダメなんだよ!」と笑顔で言うし、僕はタダでやってもらっているから何も言えなくて。当時はこんな髪形の人いなかったから、「天野くんや先輩から『見た目で目立とうとしてる』と言われるなあ」と心配していたのに、意外に似合っていると思われたみたいで。

 その後、仕事がだんだん上向きになって、僕はこの頭を「あげまんヘア」と捉え、この髪形でやっていこうと決めました。はんぺんに切れ目を入れたような目とノペーッとした顔だから、このくらい派手な頭でもよかったのかもしれない。

 床屋さんでサイドを揃えてもらうために週に1回通い、いつもタダでした。おじさんもおばさんも「柿があるから食べてね」とか、コーヒーやお菓子をごちそうしてくれたり、体にいいからと梅干しを食べさせてくれました。僕がテレビに出始めるとすっごく喜んでくれて。

コーヒーの瓶で作った「ウド募金」

 ある日、天野くんや先輩たちから「そろそろ床屋さんにお金を払ったほうがいいんじゃないか」と言われ、床屋さんに行った時に「払います」と言うと、「いいよ、いいよ」と1度は断られたけど、「今日から払わせてください!」とお願いしたら「じゃ、次からそうしよう」と。

 次の週、髪を切ってもらったらおじさんが持ってきたのがインスタントコーヒーの瓶。蓋に切れ込みが入っていて、「ここにお金を入れてくれ」と。パッケージのところに白い紙が貼られて、そこには僕の後頭部のイラストと「ウド募金」と書いてあったんです。

「あんちゃんはもらったギャラは全部使っちゃうだろう? これに入れてたら少しは貯まるよ」と。

 しかも、毎回ではなくたまにでいいと言ってくれて、どこまでもやさしいんです!

 同じ事務所の「ずん」の飯尾さんとやすさん、後輩の「焙煎まめ」のたがいくんもお世話になっていて、おじさんがみんなのために飲み会を開いてくれたり温泉に連れていってくれることもあり、ずっと家族のような愛情で包んでくれていました。おじさんは僕の20歳上なので、もう70代。今も床屋さんをやられていて、今も僕とお付き合いがあります。

 30年近く前、あの日たまたま僕が床屋さんをのぞいて、おじさんが出てきて、「入るか入らないのか」と聞かれた瞬間から始まって、僕の意思ではなくておじさんに今の髪形を決められて「本当によかった!」。人間はどこでどう変わるかわからないなとつくづく思います。

内村光良のアドバイスで赤から緑、金髪に

 髪を染めたのもポケットビスケッツで「RedAngel」という歌を出す時、内村(光良)さんが「赤にしてみたら?」と言ってくれて、次に「緑にしたら?」、最終的に「金髪にしたら?」と言われ、金髪に落ち着きました。

 もともと芸名は先輩に決めてもらいましたし、ネタは天野くんが決めてくれるから、自分では何も決めたことがない。天野くんは才能があるけど、僕は何もないから、この頭になってなかったら今はないかもしれない。本当に床屋さんのおじさん夫婦に感謝です。

 (聞き手=松野大介)

▽本名=鈴木任紀(すずき・ひでき) 1970年1月生まれ。山形県出身。91年、天野ひろゆきとお笑いコンビ「キャイ~ン」結成。バラエティーなどで活躍中。ユーチューブチャンネル「キャイ~ンのティアチャンネル」配信中。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    長尾謙杜は熱愛報道に謝罪も「問題児」扱いで“STARTO社出世レース”からドロップアウト

  2. 2

    白石聖は「豊臣兄弟!」代役から7月連ドラヒロインに大抜擢 “ラッキーガール”にかかる期待とリスク

  3. 3

    松村北斗&目黒蓮の"2強"を崩すSTARTO社の若手演技派は? 男性アイドル戦国時代のカオス

  4. 4

    ホラン千秋は都立国際高校→青学大英米文学科と順調に進学も、女優の夢に破れてキャスターで開花

  5. 5

    和久田麻由子アナ成功のカギは、“NHKの鎧”を脱いで個性を出せるかにある

  1. 6

    和久田麻由子「news LOG」がワイドショー化にシフト…番組コンセプト“置き去り”構成ガラリの是非

  2. 7

    森香澄はピアニストを夢見て練習に打ち込むも、1浪して東京女子大現代教養学部へ…高校は都立新宿

  3. 8

    五月みどりと中村玉緒が共に施設に入居…“同い年の女優”それぞれの晩年

  4. 9

    芥川賞作家も貧困を訴える厳しい現実…吉本ばななの赤裸々エッセーが波紋、柳美里も「時々、家の電気が止められる…」の衝撃

  5. 10

    いとうあさこだけでない「育ちの良さ」が隠せない50代女芸人…“実家が太い”“隠れ高学歴”の強者も

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    長尾謙杜は熱愛報道に謝罪も「問題児」扱いで“STARTO社出世レース”からドロップアウト

  2. 2

    トランプ大統領と高市首相がG7夕食会で「口論」し他国首脳が仲裁に? 仏メディアが報道の驚愕

  3. 3

    和久田麻由子アナ成功のカギは、“NHKの鎧”を脱いで個性を出せるかにある

  4. 4

    ホラン千秋は都立国際高校→青学大英米文学科と順調に進学も、女優の夢に破れてキャスターで開花

  5. 5

    佐々木麟太郎をMLBドラフト大改革が直撃…スタンフォード大残留なら契約金大幅減も

  1. 6

    ドジャース大谷翔平"血だらけ中指”の原因はマメじゃない? 日米のメディアの事実誤認

  2. 7

    白石麻衣が通った埼玉県の旧・私立小松原女子高校と、乃木坂46のきっかけを作った専門学校TSM

  3. 8

    白石聖は「豊臣兄弟!」代役から7月連ドラヒロインに大抜擢 “ラッキーガール”にかかる期待とリスク

  4. 9

    いよいよ“詰み”始めた高市首相…中傷動画疑惑めぐる答弁破綻で土俵際、週明け衆参集中審議が見もの

  5. 10

    『トゥモロー・ネバー・ノウズ』新機軸だらけのサウンドをバックに哲学的な歌詞の念仏感