海老蔵が“太陽”なら菊之助は“月” 3年ぶり「團菊祭」で見せつけたオーラと熱気

公開日: 更新日:

 菊之助は五代目菊五郎のために書かれた『土蜘(つちぐも)』で主役。前半は叡山の僧として登場し、後半はその正体の土蜘の精。海老蔵の「暫」は太陽のようにエネルギーを外に放射させるが、菊之助はエネルギーを内に秘める。自ら発光するのではなく、源頼光を演じる菊五郎の光を受け取めて反射させる。神秘的で静謐(せいひつ)な中に激しさがある。海老蔵が太陽なら、菊之助は月だ。

 第三部は、海老蔵・菊之助の次の世代による『弁天娘女男白浪』。五代目菊五郎のために書かれた芝居で、その子孫である尾上右近が主人公・弁天小僧菊之助を演じる。自主公演では演じているが、本公演では初めて。それも花形歌舞伎ではなく、歌舞伎座の團菊祭という大舞台での大抜擢だ。最近の歌舞伎座は、攻めの座組をするようになってきた。

 南郷力丸は坂東巳之助、日本駄右衛門は坂東彦三郎、忠信利平は中村隼人、赤星十三郎は中村米吉。29歳の右近をはじめ、みな若い。だが五代目菊五郎が初演したときは19歳だったから、この配役こそがオリジナルに近いのかもしれない。若者が悪事を企む物語だと、よく分かる。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ