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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

死後も笑いに昇華 「最後を任せれば大団円」有吉弘行が語る上島竜平の天才性

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 そんな上島を有吉は「ナプキンみたいなもん」と例えた上で「吸収力抜群っていうか、何でも吸収しちゃうので。どんなに悪口を言われても『うるせえ』ってならないんですよ。あと、みんながドンズベリの状況でも、最後あの人に任せてしまえば、スベるにしろウケるにしろ、それで大団円を迎えられる」(同前)と評している。しかし、本人はあまりにも悲しい最期を迎えてしまった。

 その上島の死後のエピソードを、いち早くテレビで話したのも有吉だ。上島の葬儀で「松村(邦洋)さんがお焼香の回数がわからないって葬式中みんなに聞いてるの」「お坊さんのお経をずっとマネたり(略)みんな泣いてるのに(松村は)お坊さんに夢中なの」(テレビ朝日系「マツコ&有吉 かりそめ天国」22年6月3日)などと笑い話に昇華させたのだ。上島は生前、自著で自分の葬儀についてこんなふうに理想を語っていた。

「俺の葬式はみんなで笑えばいいんだよ。わーって宴会すればいいんだよ。一番楽しいもん。俺は、顔ひげで豆しぼりの格好で棺桶に入って、みんなで担ぎ出される時に1回落とす。リアクションないから、次におでんを食べさせたりね。『熱い熱い』ってリアクションがないから、やっとみんなが“竜ちゃんが死んだんだ”って分かったり(笑)。俺の葬式はこんな風にやってほしいよ」(竹書房「これが俺の芸風だ!!」05年8月1日発売)

 盛大に笑って見送ることこそが、上島竜兵にとっての最高の追悼であり、大団円なのだ。

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