一度は行ってみたい「ニューミュージックの聖地」を巡礼 コンテンツ戦略の第一人者が案内

公開日: 更新日:

 ゴールデンウイークの最後は、あの名曲の聖地を訪ねてみるのはいかが。日本のコンテンツ戦略の第一人者である法政大学の増淵敏之教授が、その魅力を案内する。

  ◇  ◇  ◇

「コンテンツツーリズム(『聖地巡礼』ともいう)」が、新型コロナの沈静化以降、再び活発化してきた。アニメやマンガ、映画、テレビドラマが牽引する事例が中心だが、音楽という領域でも聖地巡礼行動は少なからず存在する。それは歌詞の中に地名を盛り込んだもの、特定の地域をイメージさせる楽曲が多いからだ。

 もちろん時代によっての濃淡はある。しかしこの流れは現在まで脈々と続いていることは否定できない。

 例えばJR茅ケ崎駅の発車メロディーがサザンオールスターズの「希望の轍」、JR赤羽駅がエレファントカシマシの「俺たちの明日」「今宵の月のように」というように使用されることもそのひとつの象徴かもしれない。

 従来、この手の楽曲は「ご当地ソング」と称されることが多かったが、その言葉自体は現在ではポピュラーな呼称ではなくなった。

 あまたあるなかで、もっとも多いのは東京とその近郊らしい。かつて歌謡曲全盛期には楽曲は「観光文脈」で作られることも多かったが、シンガー・ソングライターの登場以降、彼らは自分に身近なそれぞれの関心事、モチベーションにより自発的に楽曲を作るようになったことによって、方向は劇的に転換したともいえる。

 ではシンガー・ソングライターが中心になってカテゴライズされたニューミュージックの領域で幾つか東京を舞台にした楽曲を挙げてみよう。

■ユーミンは隠れたご当地ソングの女王

 松任谷由実は隠れたご当地ソングの女王である。「海を見ていた午後」「中央フリーウェイ」などが代表作になるが、1975年の「雨のステイション」は本人がエッセーの中でも明らかにしているように、JR青梅線の西立川駅が描かれている。

 現在、国営昭和記念公園となっている場所は1945年から77年まで米軍基地で、当時、基地内にあったディスコの帰りの思い出だという。JR西立川駅の近くにはこの楽曲にちなんだ歌碑があり、もちろん発車メロディーも「雨のステイション」だ。「ユーミン」の聖地のひとつといえるだろう。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 2

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  3. 3

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    長嶋一茂は“バカ息子落書き騒動”を自虐ネタに解禁も…江角マキコはいま何を? 第一線復帰は?

  1. 6

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 7

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  3. 8

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択

  4. 9

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  5. 10

    "お騒がせ元女優"江角マキコさんが長女とTikTokに登場 20歳のタイミングは芸能界デビューの布石か

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ