著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

畠山理仁にしか採取できない言葉と景色が、この国にはまだまだたくさん残っている

公開日: 更新日:

民主主義へのエールであり、警告でもある

 とはいえそこはネツゲン印、人間バンザイという大味なテーマを謳うためのお安い映画ではない。何より民主主義へのエールであり、警告でもある。何となくわかったつもりになっていたNHK党の「儲かるシステム」の仕組みを、ぼくはこの作品で初めてきちんと理解できたことも記しておきたい。

 タイトルも秀逸だ。元ネタがタワーレコードの「NO MUSIC, NO LIFE.」なのは言うまでもない。じつはぼくは同シリーズ初年の1997年のクリスマスキャンペーンに起用された。久保田利伸さんとのコンビでサンタとトナカイに扮したのだった。それこそジェイムズ・ブラウンに15分会うために米西海岸まで飛ぶような、いわば「NO R&B, NO LIFE」な音楽ライターだったころの話である。

 なにせ四半世紀も前の出来事。無論ふだんは忘れている。だが何かのはずみでこのフレーズを思い出すことがある。たとえば……音楽の仕事に手づまりを覚えるとき。そのたびに、後押しするより踏みとどまらせる効力に長けたフレーズだと痛感してきた。

 だからこそ、「NO 選挙,NO LIFE」の言霊が畠山さんに強く作用することを切に願う。絶滅危惧種であろうと、彼に選挙取材を辞めてもらうわけにはいかない。畠山理仁にしか採取できない言葉と景色が、この国にはまだまだたくさん残っている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因