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松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

小泉今日子さん、和田靜香さん、そしてぼく。意思表示を辞さない50代3人の言葉に耳を傾け、見届けてほしい

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3人が一堂に会するのは初めて

 明日3月15日(金)、ぼくは『おれ歌』を手にB&Bに登壇する。自著刊行記念イベントとしては実に9年ぶり。トークのお相手は歌手・俳優の小泉今日子さん。進行役としてライターの和田靜香さん。つねに自分の言葉で意思を表明する同世代の彼女たち(正確には両者ともぼくの2学年上)からは、その姿勢にも、もちろんその考えかたにも大きな刺激を受けている。おふたりは昨秋にB&Bで対談しているので、今回はそこにぼくが加わったと見ることもできる。

 運営側が出してきたテーマは「自分の歌を歌おう、社会について語り合おう」。本のタイトル『おれ歌』にちなんだものであるのは言うまでもないが、3人が集うにあたってもこれほど相応しいテーマ名はないかもしれない。何しろ、この3人が一堂に会するのはこの日が初めてなのだ。

 和田さんとの出会いは昨年9月の本コラムで詳しく述べたが、小泉さんとの縁については説明が必要だろう。(彼女が記した日付によれば)1996年10月、ぼくの連載コラム用に撮った写真をご覧いただきたい。おどけて煙草を口に当てるポーズをとる小泉さんの表情がまぶしい。まだダイアルアップ接続が一般的だった当時、いち早く公式サイトを立ち上げた〈チームKYO〉は、サイトから楽曲を公募したり、撮り下ろし写真にオリジナルのショートストーリーを添えて限定公開したりと、いくつもの新しい試みを展開していた。まだ20代のぼくも外部ブレーンとしてチームに参加、曲選びやストーリー作りを彼女と一緒に楽しくやらせてもらっていたのだ。

 今年1月末、ぼくの中で彼女の存在が急激にクローズアップされる出来事があった。先月の本コラムでも記したように、在京FM局J-WAVEの人気番組『TOKYO M.A.A.D SPIN』で小泉さんと近田春夫さんが『おれ歌』をとりあげ、深く掘り下げてくださったのだ。96年に始まった小泉さんとの縁は98年のアルバム『KYO→』で区切りを迎えた。ずっとそう思いこんできた。でもあれは句点(「。」)ではなく読点(「、」)だったのか。ならば今こそ再会の時かも……なかば妄想のような思いを和田さんに伝えたところ、彼女があっという間に鼎談企画をまとめてくれたのである。

 一切の前ぶれもなく先週末に本屋B&Bのサイトで告知して発売した入場チケットは即日完売したが、リアルタイム配信ならまだ購入可能。意思表示を辞さない50代3人の言葉にぜひ耳を傾け、見届けてほしい。

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