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桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

秋ドラマ注目は共同脚本の安達祐実「3000万」とベテラン演出陣のフジ月9「嘘解きレトリック」

公開日: 更新日:

配信に負けるな

 一方、これは面白い! と食いついたのは「嘘解きレトリック」(フジテレビ系)。鈴鹿央士松本穂香のダブル主演のキャスティングもフレッシュ。

 昭和初期を舞台に鋭い観察眼を持つ貧乏探偵・祝左右馬と「人の嘘を聞き分ける」奇妙な能力を持つ浦部鹿乃子が繰り広げる「レトロモダン路地裏探偵活劇」ということだが、セットや衣装、小道具の一つ一つに至るまで実にこだわり、原作コミックに対するリスペクトを感じる。

 エンディングで演出陣に鈴木雅之、永山耕三という懐かしい名前を見つけた。永山は「愛しあってるかい!」「東京ラブストーリー」「ひとつ屋根の下」……、鈴木は「世にも奇妙な物語」「ロングバケーション」「HERO」……と、フジのドラマの黄金時代を築いてきた人たちだ。

 月9の凋落ぶりをなんとかすべく、ベテラン演出家が集結したのか、人手不足でやむを得ずなのかはわからないが、久々に見応えのあるドラマに出合えてうれしい。

「SHOGUN 将軍」に「地面師たち」「極悪女王」と配信ものが話題だが、テレビドラマも負けじとそれぞれのやり方で戦っている。

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