著者のコラム一覧
ラサール石井タレント

1955年、大阪市出身。本名・石井章雄(いしい・あきお)。鹿児島ラ・サール高校から早大に進学。在学中に劇団テアトル・エコー養成所で一期下だった渡辺正行、小宮孝泰と共にコント赤信号を結成し、数多くのバラエティー番組に出演。またアニメの声優や舞台・演劇活動にも力を入れ、俳優としての出演に留まらず、脚本・演出も数多く手がけている。石井光三オフィス所属。

勘三郎さんの夢が結ばれた勘九郎さんの「俊寛」 勘太郎を襲名した七緒八くんの成長に感動

公開日: 更新日:

 このアイデアが生まれた情景は手に取るようにわかる。シーワールドのシャチのショーからコクーン歌舞伎「四谷怪談」をつくり、唐十郎氏の赤テントを見て自由に外に持っていける平成中村座をつくった。

 硫黄島に「行ってみたいねえ」となり、行けば「ここでやってみたいねえ」となる。それをそこで終わらせず、周りを自然に動かし実現させるのが勘三郎さんだ。40歳で初演し、亡くなる前の年の2011年に再演した。

 そして初演の時に14歳で出演した勘九郎さんが今年、その俊寛の大役を演じたのだ。悪天候で前日フェリーが動かず当日乗り込みで、通し稽古もないままに、しかも初役の俊寛を見事に演じ切った。まさに父親が乗り移ったような瞬間が何度もあった。

 そもそもこの興行は勘三郎さんが再演の時に、その年に生まれた勘九郎さんの長男七緒八くんが15歳、自分が70歳の時にまた演りたいと言っていた夢から始まった。

 1歳の頃にビデオで歌舞伎を見るのが大好きでテレビの前で見えを切る足の所作を真似していたあの七緒八くんが、勘太郎を襲名して「俊寛」で成経を演じ、まだ中1ながら堂々と長ゼリフをしゃべる姿には感動した。

 たった12年で、子も孫もこれだけ成長するものか。さぞや空から見ていた勘三郎さんもうれしく、そしてあの人のことだから自分が演りたくて悔しかったことだろう。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」