テレビ中継の「猛暑」「豪雨」「台風」リポートって必要ですか?
いらないです。ハイ、以上…で済ませたくなりますが、それだとあんまりなのでちゃんとご説明しましょう。これからのシーズンきっと多く見かけることになる「ずぶ濡れの記者」や「汗だくのレポーター」の生中継。きっと見ていて「この人大丈夫かな?」と心配になる心優しい人も多いと思いますが、じつはこれでも以前に比べればずいぶん少なくなったんです。
私が若い頃、つまり20世紀には「できるだけ緊迫感のある場所から中継する」のが当然という時代でした。台風なら、波がザブーンと押し寄せる防波堤から中継するとか、強風で飛ばされそうになりながら絶叫中継とかすると、局に戻ってから「エヂカラが強かったよね。迫力満点で、最高でした」と上司に褒められたりしたものです。
■「台風中継はいい天気で、連休の渋滞中継は車がスイスイ走っている」が大半
じゃあ、記者はいつも危険な目に遭っていたのか? というとぶっちゃけそんなことはありませんでした。「狙っても外す」ことがほとんどだったからです。大雨が降っているはずが、現場に着いたら晴れていて話すことが無かっただとか。波がベタ凪で、後ろに小学生が群がってピースされちゃったとか。だいたい、天気というのは思った通りにいかないんです。私の経験からいうと、「台風中継はいい天気で、連休の渋滞中継は車がスイスイ走っている」というケースが大部分ですね。