名門・筑波大付属から東京藝大に進んだ“秀才”野村萬斎の教育方針 長男・裕基は立教英国学院から慶大へ
高校時代は黒沢明監督の映画「乱」にも出演。ロケの最後は高3の冬、大学共通第1次学力試験(現大学入学共通テスト)の直前だった。黒沢監督が空模様に満足できず撮影が延期になり、試験が受けられるか気が気ではなかったという。
大学は東京芸術大学音楽学部邦楽科能楽専攻に進んだ。指導する講師は万作と伯父の萬(95、当時万乃丞)。自伝「萬斎でござる」(朝日新聞社)の中で「父とは、二人でいっしょに登校して、ふだん家でやってる稽古をわざわざ学校でやるのですから、ばかばかしいといえば、ばかばかしかったかもしれません」と振り返っている。
萬斎と同様、3歳で初舞台に臨んだ長男の裕基(25)の学歴も注目すべき点が多い。高校からはロンドンの南にある立教英国学院に留学した。「企業の海外進出が活発になった70年代初頭、英国には日本人学校が一校もなかった。そこで、駐在員の子女が日本にいるのと同じ教育を受けられるようにとつくられた」と立教大元教授は同校設立の経緯を説明する。
父の萬斎も28歳の時、英国留学を経験。シェークスピアなど、向こうの舞台芸術に触れることが狂言にも役立つと思ったからだ。同じことを裕基も感じたに違いない。