これぞロック! YOSHIKIのパクリ騒動、文句を言って何が悪い? “寛容”を強制する世間への反撃
《何これ、XJAPANに聞こえない?》
【「残念プロフェッショナル」の流儀】
人気アニメ『ダンダダン』の劇中歌に対して、《何これ、XJAPANに聞こえない?》と自身のX(旧Twitter)に投稿し、一連の騒動で自身の“株”を下げてしまったYOSHIKI。
ご存じ、レジェンドバンド「X JAPAN」の中心人物が巻き起こしたパクリ騒動を、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地さんはどう分析しているのでしょうか。
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YOSHIKI(ミュージシャン、59歳)
人気アニメが「X JAPAN」のパロディー
まず今回のパクリ騒動を簡単に振り返っておきましょう。
きっかけはアニメ『ダンダダン』でX JAPANに酷似したバンドが登場し、さらに代表曲「紅」を彷彿させるアニメオリジナル曲が流れたこと。
このシーンに対してYOSHIKI様が即座に反応。8月8日、自身のXに次のようなポストを連投。
《何これ、XJAPANに聞こえない?》
《えー?この件何も知らないんだけど》
《この制作チーム、事前に一言ぐらい言ってくれれば良いのに..》
《弁護士達からも連絡がきた》
などと、パクリであるかのように示唆し、法的な問題も匂わせるなど、不満を吐露していたのです。
TVアニメ「ダンダダン」における楽曲「Hunting Soul」に関しまして pic.twitter.com/XtWQkbwZYu— 「ダンダダン」TVアニメ公式 | 第2期は25年7月3日から放送開始 (@anime_dandadan) August 22, 2025
その後、紆余曲折を経て8月22日、『ダンダダン』の製作委員会が謝罪を公式発表。これを受けてYOSHIKI様と和解して、円満解決に至っています。
しかし、YOSHIKI様のX投稿が自身のファンを焚きつけるような手法に見えたこともあって、オマージュやパロディーを許容しないと受け取れるスタンスに、“器が小さい”、“ダサい”、“ガッカリ”といった、非難の声が集まる結果となってしまっていたのです。
器が小さい、ダサい、ガッカリの声
ちなみに法的観点から説明すると、楽曲「紅」の権利はソニー・ミュージックパブリッシングが持っており、YOSHIKI様が権利を持っているわけではないそう。
またアニメ『ダンダダン』を製作しているのが同社の関連会社で、グループ企業内では事前に許諾は得られていたと見られています。要するに、『ダンダダン』側は著作権侵害にもパブリシティー権侵害にもあたらない可能性が非常に高い模様。
このように法的な“正義”もYOSHIKI様になさそうということが明るみに出て、彼に対する失望感が広がってしまっているのです。
こうして自身で口火を切ったパクリ騒動で“器が小さい”“ダサい”“ガッカリ”といったネガティブなレッテルを貼られてしまったYOSHIKI様でしたが、筆者が思うに彼はこうなることを承知のうえで、世の中の風潮に一石を投じたのではないでしょうか…!?
オマージュは受け止めろという強迫観念
元ネタに対して失礼なパロディーは視聴者たちから非難されやすいですが、元ネタへの愛があふれているパロディーの場合は、真似されたご本人は“寛大に受け止めるべし”――という空気感が世間には浸透しています。
さらに、リスペクトの念が伝わってくる愛あるパロディーは、オマージュとも呼ばれるようになっており、真似されたご本人は“好意的な反応を示すべし”――といった強迫観念すら感じさせる時代です。
そうやって寛大に受け止めないと、器が小さいと評され、ダサいと思われてしまう。
つまりご本人側は、勝手に真似されたにもかかわらず、黙認するか好意的反応を示すのが、“かっこいい大人な対応”というような価値観になってしまっているのです。
けれど、よくよく考えてみてください。
法的にはYOSHIKIさんが「紅」の権利を持っていなくても、作詞・作曲したのは紛れもなく彼ですし、自身のバンドの代表曲として長年演奏してきた愛着たっぷりの歌なのは間違いないでしょう。
そんな“我が子”のような歌について、自身が気に食わないことが起こったときに、不満の声をあげることの何がいけないのでしょうか?
言いたいことを言わずして、なにがロックか?
さらに言うならYOSHIKI様は生粋のロッカーです。ロッカーが自分の本音を押し殺して、寛大な大人の対応をしたとして、それがロックなのでしょうか
反骨精神を体現すべきロッカーが、内包する怒りを叫ぶことの何がいけないのでしょうか?
悲しいかな、今はロッカーでさえも、自分の本音を押し殺さなくてはいけない時代。
おそらく他の多くのロッカーたちも、その世間の風潮に流されて、寛大な大人なフリを強いられているのでしょう。
きっとYOSHIKI様は、そんな大人の対応を強要する世間の風潮にも、言いたいことも言えずにいる情けないロッカー仲間たちにも、嫌気が差していたに違いないのです……!
言いたいことを言わずして、なにがロックか?
LAST ROCKSTARなプロフェッショナル
YOSHIKI様と言えば、2022年に結成した新バンド「THE LAST ROCKSTARS」も大きな話題を集めていましたよね。
そう、“器が小さい”だの“ダサい”だの“ガッカリ”だのさんざん言われようとも、YOSHIKI様こそが“LAST ROCKSTARなプロフェッショナル”なのです!
自身のSNSでファンを味方につけようとしながら不満を吐露したという手法や、その発散した怒りがいまいち大衆の共感を得られなかったことなど、そのあたりのことは…まぁ…ひとまず置いといて! 誰がなんと言おうとYOSHIKI様は“LAST ROCKSTAR”なのです!!
(堺屋大地/コラムニスト・ライター・カウンセラー)