認知症予防効果も…帯状疱疹ワクチンは3つのリスクを軽減させる
今年4月から「定期接種」になった帯状疱疹ワクチンが、心臓血管疾患のリスクを下げる可能性がある──。そんな研究報告があると前回お話ししました。
心臓血管疾患だけでなく、帯状疱疹ワクチンは「認知症」を予防する可能性があるという研究がいくつも報告されています。今年4月、科学誌「ネイチャー」に発表されたスタンフォード大学のチームが主導した大規模研究では、ウェールズの28万2000人を超える高齢者の電子カルテデータを2013年から2020年までの7年間にわたって追跡調査したところ、帯状疱疹ワクチン(弱毒生ワクチン)を接種した人は、接種しなかった人と比較して、7年間の期間中に認知症を発症するリスクが20%減少したことがわかりました。さらにその予防効果は、とりわけ女性で高かったそうです。
この研究を受け、オーストラリアで実施された追試験でも、10万人以上の電子医療記録を7.4年間にわたり分析したところ、帯状疱疹ワクチン(弱毒生ワクチン)接種対象となることで、追跡期間中に新たに認知症と診断される確率が1.8ポイント有意に低下していました。ウェールズでの研究と同じく、帯状疱疹ワクチン接種による認知症の予防効果が示されたのです。