推し活ロス、将来の不安…独女にこそ「サウナ」を勧めたい。暑苦しい場所が“居場所”に変わった理由

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コクハク

【アラフィフ独女のひとりごと】

 外出もままならず、仕事も減り、推しにも会えない――そんなコロナ禍の真っ只中、アラフィフ独女の私が偶然出会ったのが「サウナ」でした。

 もともと、誰かと一緒に何かをすることが好きで、休日には推し活に出かけ、誰かとおしゃべりをすることで自分を保っていた私。そんな自分が、たった一人で、ただ静かに汗をかく空間に心を癒されるなんて思ってもみないことでした。

 今回は、私がなぜサウナにハマったのか、その理由と魅力をお話ししたいと思います。

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「推し」にも会えず、心の支えがごっそり消えた日々

 サウナに通い始めたのは、ちょうどコロナ禍が深まりつつあった頃のこと。

 ライターとしての仕事は激減し、イベントや取材の予定も次々と中止に。カフェや銭湯に行くことすらためらわれ、友人とも気軽に会えなくなりました。

 そして何より辛かったのが、「推し」に会えなくなったことです。

 それまで、ライブやサイン会に参加したり、応援広告を出したり、オタク仲間と語り合ったりしながら、日々のストレスをなんとか乗り越えていました。

 私にとって推し活は、趣味というより心の支えそのものだったのです。それが、ある日を境に、まるごと奪われてしまいました。

 急にひとりの時間が増え、自分の居場所やエネルギーの行き場がわからなくなった頃、ふらりと立ち寄った銭湯に小さなサウナが併設されているのを見つけました。

先の見えない不安。そんな時に出会ったサウナ

 ましてや私は一人暮らしです。あの頃は、仕事の打ち合わせもすべてリモートになり、推し活も途絶え、友人にも会えず、本当に誰とも口をきかない日が続いていました。

 家でひとりじっとしていると、時間の流れが止まってしまったような感覚になることも。

 ひとり暮らしのアラフィフ独女にとって、先の見えない閉塞感や不安はとても重く、「このまま誰にも必要とされないのではないか」と感じる瞬間もありました。

 そんな中で出会ったのが、サウナです。

 正直に言えば、最初の体験は「暑くて苦しい」だけでした。3分ほどでギブアップし、水風呂にも入れず、何が気持ちいいのかさっぱり分かりませんでした。それでもなぜか、「もう一度、行ってみようかな」と思った自分がいたのです。

誰ともしゃべらなくていい。でも、満たされる

 何度か通ううちに、少しずつ“整う”感覚が分かってきました。サウナに入って、外気浴でぼーっとしていると、頭の中のもやもやがすっと消えていく。ずっと抱えていた不安や焦りが、一度リセットされるような気がしました。

 誰とも話さず、スマホも見ず、ただ自分の呼吸に意識を向ける。「何かをしなければいけない」場所ではなく、「何もしなくていい」時間。サウナは、そんなふうに私を受け入れてくれる場所でした。

 様々なメディアで言われているように、サウナには“思考を手放す”ことでストレスを浄化するような作用があるのだと思います。

 仕事や人間関係に追われているときほど、空っぽになる時間が必要なのかもしれません。

アラフィフこそ、自分を整える習慣を持ちたい

 40代後半にさしかかる頃から、少しずつ体や心の変化を感じるようになりました。

 疲れが抜けにくくなり、眠りが浅くなり、理由もなく気分が沈む日が出てくる――そんな“ゆらぎ”を抱えることが増えてきました。

 病気というわけではないけれど、何となく不調。誰に言うでもなく、自分で抱え込んでしまうような違和感。

 そんな私にとって、サウナは「自分の調子を整える場所」になりました。

 長時間でなくても、短くてもいい。サウナに入って、汗をかくだけで、体も気持ちもすっきりする。

 誰かと比較することもなく、自分のペースで過ごせるのも心地よさのひとつ。ひとりで行っても浮かないし、むしろ「自分のための時間」としてぴったりです。

 気がつけば、あれほど苦手だった水風呂にも自然に入れるようになり、週末にはサウナのはしごを楽しむまでに。

 今では、旅行の予定を立てるときも、まずサウナの有無を調べるほど。この冬は、サウナの聖地のフィンランドで“ひとりサウナ旅”をする予定です。

「何者か」にならなくていい場所

 アラフィフになると、「これから先、自分はどう生きていこうか」と考える機会が増えます。

 仕事、家族、お金、健康――どれも避けて通れないテーマばかりで、誰かが代わってくれることもありません。

 だからこそ、少しだけでも“自分に戻れる時間”を持っていたい。誰の期待にも応えなくていい、ただの「私」でいられる場所があると、少しだけ心が軽くなる気がします。

 サウナは、何も語らなくても、ただ黙って、私を受け入れてくれる。無理に理解されなくても構わない。

 そんなふうに思える場所と出会えたことは、アラフィフ独女の私にとって、確かな救いでした。

 みなさんも、サウナで何者でもない自分の時間を作ってみませんか?

(mirae.(みれ)/ライター)

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