著者のコラム一覧
森岡英樹経済ジャーナリスト

1957年生まれ。早稲田大学卒業後、 経済記者となる。1997年、米コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年にジャーナリストとして独立。

三菱商事が洋上風力発電から撤退…気になるウォーレン・バフェット氏への忖度

公開日: 更新日:

 三菱商事は8月27日、秋田、千葉両県沖の3海域で進めてきた洋上風力発電所の建設計画から撤退すると発表した。中西勝也社長が東京都内で記者会見し、「建設費用が4年前の入札時の見込みから2倍以上に膨らんだことで採算が合わなくなった」と説明。「地元の期待を裏切る結果になって大変申し訳ない」と謝罪した。ただ、自身の経営責任に関しては「脱炭素社会の実現のため引き続きやることはある。引き続き責務を全うし、三菱商事をリードしたい」と述べ、引責辞任は否定した。

■522億円の損失を計上

 三菱商事はペナルティーとして次回の公募には参加できず、積み立てた保証金約200億円も国に没収される。ただ、「撤退に違和感はない。三菱商事は、すでに昨年4~12月期のグループ決算で522億円の損失をすでに計上していた」(メガバンク幹部)というのが金融界の見方だ。

 そもそも当該洋上風力プロジェクトは、受注段階から波乱含みだった。三菱商事は、政府が2021年に実施した3海域の事業者公募で、いずれも圧倒的な低価格を提示して落札した。「三菱商事の“総どり”と呼ばれた案件で、入札で三菱商事が示した売電価格は、入札上限の29円(円/キロワット時)を大きく下回る11.99~16.49円だった。20円台で応札した事業連合が多い中、圧倒的な安値が受注独占の決め手となった」(大手商社幹部)という。三菱商事は、オランダの電力子会社「エネコ」で培ったノウハウを取り入れることで、十分に採算が取れると判断していたと思われる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  2. 2

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  3. 3

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  4. 4

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  5. 5

    日本語ロックボーカルを力ずくで確立した功績はもっと語られるべき

  1. 6

    都玲華プロと“30歳差禁断愛”石井忍コーチの素性と評判…「2人の交際は有名」の証言も

  2. 7

    規制強化は待ったなし!政治家個人の「第2の財布」政党支部への企業献金は自民が9割、24億円超の仰天

  3. 8

    【伊東市長選告示ルポ】田久保前市長の第一声は異様な開き直り…“学歴詐称”「高卒なので」と直視せず

  4. 9

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  5. 10

    ラウールが通う“試験ナシ”でも超ハイレベルな早稲田大の人間科学部eスクールとは?