著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

57歳で俳優デビュー…好奇心を満たす限り田中泯は「わたしの子ども」を裏切らない

公開日: 更新日:

 そんな彼に転機が訪れたのは57歳のとき。田中の舞台を見に来ていた山田洋次に請われて、02年の映画「たそがれ清兵衛」(松竹)に出演したのだ。

 もちろん、演技は初めて。セリフを発するという方法からわからなかった。俳優は長い時間をかけてセリフの技を磨く。だが、それは自分にはできない。ならば自分は「体の技を磨いて、そしてその磨かれた体から出る言葉をセリフにしよう」(同前)と決めた。

 そうして踊るように演じた田中は日本アカデミー賞・最優秀助演男優賞などを受賞し、以後、さまざまな映像作品から引っ張りだこになっていくのだ。俳優の仕事も「好奇心を満たすものであるかぎり、続けよう」と思っているという(ほぼ日「ほぼ日刊イトイ新聞」22年1月28日)。

 彼が表現する中で大事にしていることのひとつは「わたしの子ども」という感覚だ。「子どものころに感じた違和感、ああいう大人にはなりたくない……だとか、あんな嘘だけはつきたくない……」、そう感じた「自分を、裏切っては生きられない、ということ」だ(「ほぼ日刊イトイ新聞」22年1月27日)。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった