中国映画「731」はサスペンス逃亡劇と日本人のパロディーで終わるのか

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 映画「731」では部隊の研究施設から脱走しようとする、捕虜の中国人男性を主人公にしている。凄惨な人体実験の模様が描かれる一方で、捕虜のいる施設内を花魁道中が歩くとか、刑務官が和服を着ている、日本兵が鉢巻きをしているなど、当時の日本に対する認識不足の描写も多い。それもあってか公開初日近辺は好調に収益を伸ばしたが、SNSで酷評が次々に出てきたことで失速。とは言え、9月末までに約15億元(約313億円)の興行収入を上げたというから、ヒット作であることは間違いない。

 中国では2010年代に流行した、極悪非道な日本の軍人や政治家が登場する、粗悪な「抗日ドラマ」を彷彿とさせるという論評もあるようだが、「731」の趙林山監督はこれが監督2作目で、最初の作品は10年以上前というからちょうど「抗日ドラマ」のムーブメントが起こった時期に当てはまる。言ってみればこの監督にとって、「抗日ドラマ」を作る題材の一つでしかなかったのかもしれない。

 総じて今回の映画は、主人公のサスペンス逃亡劇と日本人のパロディーとして中国で受け止められたようだが、今から40年近く前、初めて731部隊を描いた香港映画「黒い太陽七三一 戦慄!石井七三一細菌部隊の全貌」(1988年)は、人体実験のリアルな描写がスプラッターホラーをイメージさせ、以後は続編が2本作られたが、どちらもホラーに寄せた作りになっていった。

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