著者のコラム一覧
ダンカンお笑いタレント・俳優・放送作家・脚本家

本名・飯塚実。1959年、埼玉県毛呂山町生まれ。落語家を目指し立川談志に弟子入り。「立川談かん」として活動した後、たけし軍団入り。お笑いタレント、俳優、放送作家、脚本家と多才で、現在はTAPの専務取締役。

松尾伴内は刑事さんに「犯人の落とし方」の演技を指導した

公開日: 更新日:

「フライデー襲撃事件」の大塚署での取り調べは警察署の窓に下ろされたブラインドの隙間から白々と朝の光が漏れ始めてもなお、続けられていた……。黙秘権を主張する者、弁護士を要求する者、さらには刑事ドラマに付きもののカツ丼を出せと刑事さんに迫る者……大塚署の取調室はまさに取り調べがコント化していたのだった。しかも、これらの行為がまだ序の口であったから、我がたけし軍団、開いた口が塞がらないとはこのことなりである。

 取り調べを受けていた松尾伴内は「刑事さん、そろそろ出してくださいよ。ボク、あの設定、たまらなく好きなんですよね。耳元で囁くような呟くようなアレ、アレやられたらもうすべて話しちゃうだろうな……」「はあ? 耳元で何?」「またまた、何じゃないでしょう? あ、さっき席を少し立ちましたよね、そーだ、あの時にトイレで発声練習済ませてきたんだ! よっさすがベテラン!!」「だ、だから何? トイレ? 発声練習って?」「もー、わかってるクセに ♪母さんが夜なべをして手袋編んでくれた~、『かあさんの歌』を耳元で歌ってくれるんでしょう?」

「………」「歌の前に、松尾、そろそろ全部ゲロして楽になったらどうだ? おまえ、田舎、青森だったな、おふくろさんが女手一つでおまえを大事に育ててくれたんだってな。青森かあ、今ごろ、真っ白な雪に覆われてるだろうな……おふくろさん、うちのものが会いに行ったらスミマセン、スミマセン、私がちゃんとしてなかったから、すべて悪いのは私だっぺ、あの子は本当は心優しい、いい子ずら~、刑事さん、こん通り、こん通り許してやってくれっぺ~と、畑に額をすりつけて土下座してたってよ……そんなおふくろさんをもうこれ以上悲しませるんじゃねーよ! それで、ボクが故郷の冷たい雪に覆われた風景と、息子を思い、神棚に手を合わせる母親の姿を思い浮かべて罪の意識を感じ始めた、ハイ、その時!!」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    世良公則氏やラサール石井氏らが“古希目前”で参院選出馬のナゼ…カネと名誉よりも大きな「ある理由」

  2. 2

    新横綱・大の里の筆頭対抗馬は“あの力士”…過去戦績は6勝2敗、幕内の土俵で唯一勝ち越し

  3. 3

    年収1億円の大人気コスプレーヤーえなこが“9年間自分を支えてくれた存在”をたった4文字で表現

  4. 4

    浜田省吾の父親が「生き地獄」の広島に向ったA.A.B.から80年

  5. 5

    山尾志桜里氏は出馬会見翌日に公認取り消し…今井絵理子、生稲晃子…“芸能界出身”女性政治家の醜聞と凄まじい嫌われぶり

  1. 6

    「徹子の部屋」「オールナイトニッポン」に出演…三笠宮家の彬子女王が皇室史を変えたワケ

  2. 7

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希 球団内で「不純物認定」は時間の問題?

  4. 9

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 10

    フジ親会社・金光修前社長の呆れた二枚舌…会長職辞退も「有酬アドバイザー」就任の不可解