【京都ALS患者嘱託殺人事件】わずか16分の犯行。医師は何を聞き、彼女は何を答えたのか
10月31日より〈東京〉ユーロスペース、〈京都〉京都シネマ、〈大阪〉第七藝術劇場ほか全国順次公開
難病に苦しむ女性を殺害した現役の医師が逮捕される事件が起きたことは覚えていた。だが、この事件を追ったドキュメンタリー映画が製作されているとは知らなかった。監督は二村真弘。和歌山毒物カレー事件に挑んだ「マミー」(24年)に続く衝撃作である。
事件が起きたのは2019年11月30日。ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う林優里さん(当時51歳)の依頼で薬物を投与し殺害したとして、翌20年7月、2人の医師が逮捕された。
一人暮らしの林さんは事件当時、眼球しか動かせず、痰吸引や胃ろうからの食事、排せつなど24時間の介助が必要だった。主犯の大久保愉一と接触したのは、彼女が安楽死を望む言葉を度々投稿していたSNS。大久保と共犯者の山本直樹は事前に報酬として130万円を受け取り、初対面で殺害を実行した。
捜査の過程で大久保の過去の殺人事件への関与も浮上。メディアは大久保のブログなどから「ドクター・キリコ」への憧れや生命軽視の姿勢を大々的に報じ、〈狂った医者〉〈優生思想の殺人鬼〉と苛烈に非難した。世間もまたそれに同調し責め立てた。結果として25年に嘱託殺人罪などで懲役18年の刑が確定した。


















