在宅死の高い壁をどう克服するか…5~6割が「最期は自宅で」と希望しても実際は2割に満たず
村上龍さんは家族に囲まれて安らかに
芥川賞となったデビュー作「限りなく透明に近いブルー」をはじめヒット作を連発した作家・村上龍さんが74年の人生の幕を閉じた。番組開始から20年間務めた「カンブリア宮殿」のMCを今年3月に降板してからわずか7カ月。突然の訃報に驚いた人は少なくないだろうが、家族やごく親しい関係者に囲まれながらの旅立ちは決して悪いものではないだろう。
村上さんの事務所と、村上さんの著作を数多く手がけた幻冬舎は10月23日、SNSに連名で「村上龍氏 ご逝去のお知らせ」と題した文書を発表した。その文書によると、村上さんは「2026年10月17日に自宅で逝去され」、葬儀はすでに家族葬として執り行われたという。
「カンブリア宮殿」を勇退した3月26日の番組内では「作家は、死なず、ただ立ち去るのみ」という言葉を残していた。まさにその言葉通りの最期となったといえるかもしれない。ファンにとっては寂しいが、時代を走り抜いたひとりの男としては、静かに旅立ちたかったのだろう。
内閣府が毎年まとめる「高齢社会白書」(2019年版)によると、最期を「自宅」で迎えたいとする割合は51%。「病院・介護療養型医療施設」が31.4%で続く。そのほかは「特別養護老人ホーム」や「福祉施設」「子供の家」などだ。厚労省や日本財団などほかの調査でも、時期や条件によって多少のバラつきはあるものの、40~60%が自宅を希望している。
本人の希望としては自宅が圧倒的でも、現実は違う。厚労省の「人口動態統計」(2023年版)によると、病院で亡くなる人は全体の65.7%と最多で、在宅死は17.0%にとどまる。
最近は病院死が減って、在宅死が増える傾向にあるにせよ、それでも在宅死は2割に満たない。
医師で医学ジャーナリストの富家孝氏は、「自宅で最期を迎えたいのにそれがかなえられないのは、いくつかの要因が複雑に絡まっています」として、まず医療側の人材不足をあげてこう言う。
「在宅死を実現するには訪問診療や訪問介護を行う医師や看護師、介護士などが不可欠ですが、そのマンパワーが不足している上、地域的な偏在もあります。都市部にはそうした在宅サービスを提供する施設があったとしても、地方に十分な施設があるとは限りません。在宅サービスが受けられないと、たとえ本人が在宅死を希望しても、難しいのが現実です」
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