本屋ふらふらっと(調布・飛田給)「事業継承によってオープン。10坪に3000冊ほど『読後感のいい本』を選んでいます」
飛田給駅を降り、味の素スタジアムとは反対側の南口を出るとすぐだ。店頭に、週刊誌が並ぶラックが置かれ、どこか懐かしい本屋さんの風情あり。
ところが店内に入ると、ちょっと違う。まず目に入ったのが、手前の平台の「今週届いた本たち」という手書きポップ。文庫「音のない理髪店」「アンと幸福」、新書「心はこうして敵と味方をつくりだす」「言葉にならない感動を科学する」など約20冊が面陳列され、その後ろの平台には「森のバカンス」「獣の夜」など4冊が立ててある。
「去年の6月に、事業承継によってオープンしました。10坪に3000冊ほど。『読後感のいい本』を選んでいます」
と、店主の明壁(あすかべ)陽子さん。名刺に「日本ほめる達人協会認定講師」ともあり、こんがらがる。
承継したのは、48年続いた「ひたち屋書店」。明壁さんはM&Aサイト「バトンズ」で見つけ、配達を含む事業を承継したという。
明壁さんは、11回も引っ越した転勤族の妻。子育て中、怒ってばかりの自分を変えたくて「日本ほめる達人協会」の検定を受け、認定講師になった。企業研修などで講演するうち「昔の自分のような主婦にも『褒める』を伝えたい」と。「人が集まる場」の必要性を感じたそう。
「0歳からお年寄りまで、買わなくても来られるのが本屋。大田区に住んでいましたが、この店のために引っ越してきて、今は二拠点生活です」って、覚悟のほどがうかがえる。
客の一言から、しばしば話が発展するめっちゃ「しゃべる本屋」
「うちはめっちゃ『しゃべる本屋』なんです」と、明壁さんの声が弾んだ。
「クロスワード、面白いですよね」「園芸雑誌はどこに?」「有吉佐和子、読みました」。客のそんな一言から、子育てや親の介護の話に発展することもしばしば。大人が話している間、子供が走り回っても大丈夫。駄菓子やレゴも用意している。さらに「週刊読書人」も常備され、この町の奥の深さを示しているようだ。
町田そのこ著「夜明けのはざま」をふと手に取ると、「家族葬専門の葬儀社が舞台の連作短編集です。私、先月、父を亡くしまして。電車で読んでて泣いちゃいました。つらい気持ちは抑えなくていいと思えたんです」と明壁さん。何よりの本の紹介。おしゃべりは宝物だと思った。
◆調布市飛田給2-18-1/京王線飛田給駅から徒歩2分/℡070-8975-2610/午後1~6時(土曜は正午~午後6時、日曜・祝日は正午~午後5時)、月曜休み
■ウチの推し本
「ねずみくんのクリスマス」なかえよしを作 上野紀子絵 ポプラ社 1430円
1974年から続くロングセラーシリーズの一冊。
「子供の頃から大好きな『ねずみくんシリーズ』。かわいくて、分かりやすくて、心があったかくなるんです。ねずみくんがねみちゃんにクリスマスツリーを作ろうとすると、動物たちが次々やって来て『もっと大きく』。ねみちゃんのツリーは『小さすぎる』と笑われてしまうけれど……。最後には『よかった、よかった』と笑顔になれるお話。この季節にぜひ」
■本コラム待望の書籍化!「本屋百景 独立系書籍をめぐりめぐる」好評発売中!



















