“歩く消化器官”から“翅が生えた生殖器”へ│「変態 チョウからクラゲまで究極の生存戦略」ニュートン編集部編
「変態 チョウからクラゲまで究極の生存戦略」ニュートン編集部編
サナギからチョウへと、それまでの体を一変させて新たな体をつくり直す「変態」には、生物が生きていく上でどのような意味があるのか。本書は、昆虫類、両生類、魚類、クラゲ、フジツボなどさまざまな変態を通してその優れた生存戦略の謎に迫っていく。
動物界およそ170万種のうち、昆虫は100万種以上を占めている。昆虫には、変態をしない「無変態」、バッタやセミのように変態をするがサナギの期間がない「不完全変態」、チョウやカブトムシのようにサナギを経る「完全変態」の3タイプに分けられる。昆虫全体のうち無変態は1.2%、不完全変態は16%、完全変態は83%と、ほとんどの昆虫が変態の過程を経ており、それが大繁栄に大きく寄与しているとされる。
完全変態の幼虫のお腹はほぼ消化管で満たされ、食べることにエネルギーを注ぎ込んでいる。一方成虫は生殖に特化しており、昆虫の変態は“歩く消化器官”から“翅が生えた生殖器”へと、肉体と役割を切り替えるためのシステムだといえる。また幼虫と成虫とでは、すむ環境や食べ物が変化し、互いの競合に陥らないこともメリットだという。
水中と陸上での生活を使い分けるカエルなどの両生類の変態は、魚類から爬虫類などに至るまでの進化の途中の過程を示しているという。サケ科の魚類サクラマスは、川にいるときはヤマメやアマゴと呼ばれ、川を下って海へ行くときには大型化し体色も変わるという大変身を遂げる。全てが海へ下るわけではなく、早期に成熟を遂げ川にとどまるもの、成熟しないで川にとどまるもの、海へ下るものの3タイプがあり、その違いも考察されている。これがクラゲやフジツボになると、海底や岩などに固着する生活と浮遊する生活とを変態によって使い分けている。
変態の本質とは、生き延びるためにすむ場所と形を変えることだ。なにやら人間の人生にも通じるようだ。 <狸>
(ニュートンプレス1430円)



















