ウイスキーは不器用だけど情が厚い「マスター。ウイスキーください」吉村喜彦著
「マスター。ウイスキーください」吉村喜彦著
著者はサントリー宣伝部出身で、開高健、山口瞳の系譜を正統に継ぐ作家。本書は「ウイスキーはバーのカウンターで飲むのが一番おいしい」という著者が、網走、仙台、東京、大阪、神戸、松山、石垣島のバーを巡って、個性的なマスターたちのウイスキーに対する深い思いを引き出した「日本列島バーの旅」だ。
登場するマスターは、いずれも独自のこだわりをもってウイスキーと向き合っている。松山のバーは1958年の開店以来ビールを一本も売ったことがない。またハイボールが有名だが電気冷蔵庫を使わず、大きな氷で冷やす。大阪・堂島のマスターは、ハイボールを作るときステアはせず、レモンピールをピュッと搾る。ステアすると炭酸が抜けるからだ。神戸のマスターは人間とウイスキーはよく似ているという。
「素性が悪い子でも、ちゃんとした育て方をしたらみんな良い子になる」
著者いわく、「ウイスキーは不器用だけれど、情が厚い。理解するのに時間がかかるけれど、裏切られることはない」。
これぞウイスキーを飲むことの神髄だろう。
(コモンズ 1870円)



















