著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

助かるのであればがんは「遅く」見つかった方がいい

公開日: 更新日:

「できるだけ早く見つけて、早く治療したほうがいい」――。これが、がん検診のコンセプトです。しかし、今回は「結果が同じなら、できるだけ遅く見つかったほうがいい」という話をしましょう。

「遅く」というのが「早く」の誤りではないかと思われたかもしれませんが、そうではありません。

 具体的な例で考えてみましょう。がんが1ミリの大きさで見つかっても、10ミリの大きさで見つかっても、50ミリで見つかっても、治療によってその後は同じような寿命が得られるとしたら、あなたにとってどれが一番いいでしょうか。

 多くの人は、「そりゃあ、1ミリで見つかる場合だろう」と言うかもしれません。しかし、そこには「より早く見つかった方が寿命が長いに違いない」というような前提をすでにつくっている面があるのではないでしょうか。よく考えてみてください。「寿命が同じ」だとしたら、どうでしょうか。

 1ミリから10ミリになるまで10年、10ミリから50ミリになるまで5年を要するがんだとしましょう。1ミリで見つけた場合、10ミリで見つけるより10年、50ミリで見つけるよりは15年長く、「がん治療と付き合って生きていかなければならない」という負の面があるともいえます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も