著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

薬剤師国家試験合格率とストレート卒業率…国家資格合格率データを読む(1)

公開日: 更新日:

 むしろ注目すべきは「卒業率」、つまり入学者数に対する、ストレート(6年間)で卒業できる人数の割合です。私立薬学部の授業料は、年間200万円と言われています。6年間で1200万円にもなります。留年せずに、ストレートで卒業できれば、それに越したことはありません。

 卒業率が分かれば、国試の現役合格率(留年せずに卒業できて、しかも国試を合格した人の割合)が分かります。それが高いほど優秀な大学、投資に見合う大学と言えるでしょう。

 今年の国試に関しては、大学別の合格率が発表されていますが、卒業率などはまだ出てきていません。しかし昨年度(2021年度)の数字(薬学部における修学状況等 2022年⦅令和4年⦆度調査結果)が公開されているので、それで見ていくことにしましょう。

 卒業率で最も高かったのは北里大学(90.8%)でした。2016年度に250人が入学し、2021年度には227人が卒業しました。現役合格率が最も高かったのは明治薬科大学でした。入学者313人に対して、268人が現役合格しています。


 一方で卒業率が50%未満が11学部、国試の現役合格率が50%未満が20学部もあり、上位と下位の格差は相当なものです。なお国際医療福祉大学福岡薬学部は、2021年度にはまだ卒業生を輩出していません。

 表1に、卒業率ベスト10を、表2に現役合格率ベスト10をまとめました。これらを見ると、昔からの名門校が、卒業率・現役合格率ともに高いことが分かります。慶應の薬学部は、もとは共立薬科大学でした。これから子供を薬学部に入れたい人は、こうした数字を参考にされるといいでしょう。

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