著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

薬剤師国家試験合格率とストレート卒業率…国家資格合格率データを読む(1)

公開日: 更新日:

私立大学薬学部編

 昔は「医師薬」という言葉があったように、薬学部は医学部、歯学部と並ぶ受験の難関学部とされていました。その理由は、薬学部の少なさにありました。政府が1983年から2002年まで、薬学部の新設を凍結していたからです。そのため全国に薬学部は46学部しかなく、入学定員は約8000人に絞られていました。しかし2003年から規制が緩和され、また6年制への移行などもあって、現在は79学部、入学定員1万3205人(6年制に限れば1万1787人)に達しています。私学は50学部で、6年制の定員は10576人です。

 薬学部を評価する上で最も重視されているのが、薬剤師国家試験(国試)の合格率です。とくに私立の薬学部は、入学者の大半が薬剤師を目指しています。国試を通らなくても、必要な単位を取得していれば、「薬学士」として卒業できますが、薬剤師の仕事に就くことはできません。

 ただし国試合格率だけでは、実態は分かりません。仮に100人が卒業しても、そのうちの30人しか国試を受けなかったとしましょう。しかし合格人数が27人だったとすれば、国試合格率は90%という、全国トップレベルの数字になります。

 実際、多くの私立の薬学部では、模試などの成績が悪く本番の合格が見込めない学生に対して、受験を断念するよう指導していると言われています。そうやって国試の合格率を少しでも高く見せようというわけです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした