懐は寂しくても、明日は見えなくても…乾杯!

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<酒蔵かっぱ(新橋)>

 新橋は烏森口を飛び出すと、忘年会シーズン真っただ中の街はごった返していた。が、職場の仲間とパーッといこうというような華やぎというか、浮かれた顔は多くない。そういう時代なのだろう。

 新橋西口商店街を進み、2つ目の十字路を左に折れたところにあるのが、今宵(こよい)の河岸。7坪(23.14平方メートル)ほどの空間に厨房とコの字形のカウンター、4人掛けのテーブルが2席あるだけの小箱ながら、夜ごと飲んべえたちが詰めかけ、袖すり合うのも何かの縁とばかり、分け隔てなく語らうことで知られた店である。創業から35年、どれだけのサラリーマンがここで、つらい仕事の憂さを晴らしてきたのだろう。

 暖簾をくぐり、ちょっと驚いた。午後6時を回ろうとしているのに、先客はゼロ。店主葛山健一さんの頭に巻いたねじり鉢巻きがどうにも寂しげで、何と言っていいのか分からず、お互い苦笑い。まあ、こんな日もありますよ、との言葉をのみ込んで、止まり木についた。

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