サンドイッチのタナカ(京都・烏丸御池)毎日ほぼ売り切れ。繁盛店を築き上げた「ヨソとは違うアイデア」
食材費が上がり続け、飲食店にとっては厳しい時代だが、苦しい時を乗り越えて生き抜く老舗も少なくない。そんな名店には、時代の荒波に打ち勝つヒントがあるはずだ。創業50年を迎えた本紙と“同い年”くらいの50年飲食店の店主に愛される味の秘訣を聞いた。
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主婦だった田中和代さん(83)が一念発起したのは小学1年生、幼稚園、3歳の子どもを抱えた52年前、31歳の時。会社員だった夫に頼らず、実家の1階部屋と庭を改修し、8畳ほどのサンドイッチ店を開業した。女性1人で切り盛りしてきたコツを聞くと、柔和な表情に似ず、飛び出したセリフにグサリと胸を刺された。
「あのね、危機を感じた時こそヨソとは違うアイデアで勝負しないと。そこがポイントよ」
オープンからしばらくすると、コンビニの新規開店ラッシュが始まった。
「いつかはやられると思った。でも負けたくなかったから、メニューの考案は夢にまで出てきたわ」
巨大チェーンに対抗すべく、軸に据えたのは手作りだ。午前4時に起床して現在は25種類、100個以上のサンドイッチの総菜を仕込み始め、袋詰めまで自分でやる。


















