薬価高騰に一石 キューバ発のワクチンが肺がん患者を救う
アメリカとキューバが国交を回復し、今年8月には定期便の飛行も再開されるなど両国は急速に歩み寄っています。そんな中、キューバ発のがんワクチンが肺がん治療のブレークスルーとして大きな注目を浴びています。
「CimaVax」と呼ばれるワクチンはキューバで開発され、臨床治療に使われています。腫瘍を直接攻撃する化学療法とは違い、2種類のタンパク質から構成される薬が人体の免疫システムを刺激。EGF(上皮細胞増殖因子)と呼ばれるタンパク質を制御し、EGFががんの腫瘍と接触してがん細胞が増殖するのを防ぐ働きがあります。つまり、肺にできた腫瘍が成長、転移するのを防ぎ、後期のステージにある腫瘍を治療可能なものにしようという仕組みです。
このワクチンは、ペルー、パラグアイでもすでに使用され、コロンビアでも間もなく導入される予定。アメリカでも数年前から知られていましたが、キューバに対する経済制裁のために輸入することができませんでした。
一方、近い将来の経済制裁解除に向けて一歩を踏み出したのが、ニューヨーク州バファローにある「ラズウェル・パークがん研究所」です。指揮を執るケルビン・リー医師はこれまでに何度かキューバの治療現場を訪れ、効果を実感。「投薬も月に1度の注射ですむ上、毒性も低い」とコメントしています。