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半藤一利<1> 東京新聞の試験会場に迷い文藝春秋を受験

 1953年、東京大学卒業後、文藝春秋に入社。41年間、雑誌の編集者として会社員生活を送った。近著、「文士の遺言 なつかしき作家たちと昭和史」(講談社)では、坂口安吾、司馬遼太郎、松本清張らの流行作家を担当した当時を振り返る。半藤さんが目撃した数々の“歴史的瞬間”とは――。

 大学時代の4年間はボートに夢中でした。前年のヘルシンキ五輪はあと一歩で出場を逃しましたが、卒業の年は全日本選手権で優勝。それで仲間たちと東大谷川寮(群馬県)で酒盛りです。気付いたら大会の日(1952年9月9日)から幾日も経っていて、実家から「就職はどうするんだ」と電報が来た。慌てて東京に帰ったら、新聞社の入社試験は申し込みが終わっていたのです。

 文学部出身でしたから、新聞記者になりたいと思っていました。戦争中の報道管制で「新聞にダマされた」という思いがあったんですね。東京大空襲を受けていますから、戦争経験者としても新聞の報道は大事だと身に染みていました。当時は編集者や作家を目指そうという思いはありませんでしたね。

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