新潟・庄内 知る人ぞ知る美食地域の「伝統料理」を味わう

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「一歩出るな、半歩遅れるな」の教え

 国民民主党の小沢一郎氏は、自らを「不器用で口下手な東北気質」と表現した。小沢氏のルーツは岩手だが、日本海側もキャラクターは同じなのかもしれない。新潟から山形にかけての沿岸部は、魚はもちろん肉、米、野菜から酒までうまいのに、東北人のアピール下手もあり、万人が知るところではない。隠れた美食地域を訪ねた。

 ◇  ◇  ◇

 江戸時代に北前船で栄えた新潟市内には、今も料亭文化が息づいている。その代表格が「日本料理 行形亭」(℡025・223・1188)だ。広大な敷地には中央の池を囲むように11の部屋があり、140畳の掘りごたつの大広間まで備えている。ハレの日にふさわしい老舗料亭だ。

 名物「かしわ味噌漬」は、味噌に漬けた鶏肉を低温でじっくりと揚げたもの。うま味がぎゅっと凝縮されている。「かきのもと」と呼ばれる赤紫色をした食用菊のおひたしも、新潟ならではのメニュー。「秋鮭親子丼」に使われるイクラは、少し火を入れてから塩漬けにするそうで、濃厚な味わい。そのほか、のどぐろや天然のあゆ、さわらといった地物の魚介が、四季折々に趣向を凝らして提供される。

 創業は元禄時代。大女将の行形滋子さんによると、「一歩出るな、半歩遅れるな」の教えを守りながら、少しずつ伝統をアップデートしてきたそうだ。

 行形亭の双璧をなすのが、花街・古町で通りの名称にもなっている「鍋茶屋」(℡025・222・6131)。創業は江戸後期で、現在の木造3階建ては明治期に建てられたもの。文化庁の有形文化財にも登録されている。食事後は館内の見学も可能だ。

城下町・村上の塩引き鮭

 新潟最北の村上市は村上藩の城下町であり、「鮭のまち」としても知られる。

 伝統の「塩引き鮭」は、市内を流れる三面川でとれた鮭を1週間ほど塩漬けにして、身が締まったところで洗い流し、日の当たらない北側に干して風にさらす。見慣れていない旅行客からすると、無数の鮭が天井からぶら下げられた姿は圧巻だ。

 腹を完全に切り開かずに尾からつるすのは「切腹」「首つり」を嫌ったため。

 じっくりと時間をかけて熟成された身は、日本酒との相性も抜群。こたえられないうまさだ。

精進料理とパワースポット

  山形・庄内地方の鶴岡市は2014年に日本で初めてユネスコ創造都市ネットワークの食文化分野で認定されている。世界が認める「食のまち」だ。実際、全国に名前が知られたイタリアンの「アル・ケッチャーノ」など、地元食材にこだわった名店が多い。

 出羽三山で修行する山伏が編み出した精進料理も、豊かな恵みがあればこそ。よみがえりの旅を果たせる「羽黒山」の参道を登ったところにある「斎館」(℡0235・62・2357)では、その伝統料理(要予約)が味わえる。ごま豆腐のあんかけ、フキのいり煮、だだちゃ豆の味噌汁など、いずれも滋味あふれる料理ばかり。自給自足の食生活の中から発達してきた独自グルメだ。


  参道の途中には、樹齢が推定1000年超といわれるパワースポット「爺スギ」があり、近くには938年に平将門が創建したと伝えられる五重塔も。現存する塔は室町時代に建てられたもので、国宝に指定されている。11月末までは、内部も公開。これは「明治維新になって以降、初めてのこと」(羽黒山伏の吉住謙佑さん)だ。

新観光列車「海里」

 今週末(5日)、新潟と酒田を約3時間で結ぶ新しい観光列車「海里」がデビューする。日本海の美しい景観を眺めながら、新潟と庄内の食を堪能できるというもの。オススメは、スペシャルな時間を過ごせる4号車の旅。新潟発なら「行形亭」や「鍋茶屋」、酒田発は「アル・ケッチャーノ」の料理が提供される。こちらは、びゅう旅行商品で、出発の5日前までの予約(℡0570・04・8928)が必要。2人掛けの座席が中心の1号車と4人掛けのコンパートメントの2号車(3号車は売店とイベントスペース)は、乗車券と指定券で乗車可能だ。

(取材・文=二口隆光/日刊ゲンダイ)

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