島根県・浜田市で日本遺産「石見神楽」の奥深さに触れる

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 今年5月、「神々や鬼たちが躍動する神話の世界~石見地域で伝承される神楽~」の構成文化財として日本遺産に認定された石見神楽。これを継承するのは石見地方の130団体で、そのうち54団体が浜田市にある。同市では浜田三宮神社で毎週土曜日に石見神楽公演を開催。地域ぐるみで伝統文化を守ってきた。

  ◇  ◇  ◇

 石見神楽とは、島根県西部に古くから伝わる伝統芸能。神事で神に奉納するため奏される歌舞である一般的な神楽と違って、豊穣神である大元神に奉納する大元神楽だ。代表的な演目は大蛇や恵比須。派手な衣装でテンポのよい舞が特徴だ。演目に使われる神楽面や蛇胴は、「石州半紙」をはじめとした和紙で作られている。

 その和紙の新商品の販売や歴史的な資料が展示されているのが「石州和紙会館」(三隅町古市場589)だ。

「石州半紙は2009年にユネスコ無形文化遺産に認定されています。ただ、製造しているのは現在4戸だけで、当館では人材育成を図る取り組みもしています。原料の楮は地元で栽培しています。石州楮で作られた半紙は強靱で、長期保存が可能という特徴もあります」(同市地域振興係・係長の田倉大輔さん)

 職人も使う工房では、手すき和紙体験(要予約)も行っている。1人から参加できて、1回30~40分。出来上がった和紙は持ち帰ることができる。担当者のレクチャーを受けながら、はがき判(2枚=540円)を作ってみた。紙をすくときの力の抜き具合が絶妙に難しい。力を入れすぎると和紙が片寄ったりして、まんべんなく広がらない。それでも手慣れてくれば面白くなってくるから不思議だ。

ハードロックのような激しい舞

 石州和紙で作ったお面は、新築や開店のお祝いに厄よけとして贈ることもあるそうで、お土産としても人気だ。父子で営む「柿田勝郎面工房」(熱田町636―60)には神楽の団体や贈答用の飾り面の注文が全国から寄せられている。その制作現場を見学させてもらった。

「石見神楽面も、もともとは木製でした。ただ厚みがあって重いのが難点。そこで、この地域では明治ごろから石州和紙を張り重ねた『張り子面』が作られ始めました。木彫りよりも手間が掛からず、虫が入らないように管理すれば修理もできます。能が演歌なら石見神楽はハードロックくらい激しい舞。演者は汗だくですから、紙のお面は優れものなのです」(初代当主の柿田勝郎さん)

 実際に持ってみると見た目ほど重くはないが、仕上がりは重厚感がある。2代目で息子の兼志さんに案内されて作業場をのぞくと、500以上の石膏型が並んでいた。ここから作られた粘土原型に和紙を貼っては乾かす作業を繰り返す。こうして強度を高めていくのだ。和紙が固まれば粘土原型は用済みとなり粉々にされる。

「壊すから複雑な面ができるんです。合理化の時代なのに合理化できない作業で、面倒だから良い造形ができるんですよ」(柿田兼志さん)

 伝統工芸品として、最近は海外からの問い合わせも増えているという。

夕日と青い海と列車の絶景スポット

 国道9号沿いにある道の駅「ゆうひパーク三隅」(三隅町折居220―1)は、高台から日本海の青い海を望める絶景スポットだ。

 夕陽そのものも美しいが、海沿いの線路を走るJR山陰線の列車とコラボする姿も幻想的。そのため全国から鉄道ファンが駆け付ける撮影スポットとして知られている。

 浜田市のお土産や新鮮な魚介を味わえる食事処もあるので、観光の合間の一休みにもオススメの場所だ。

 今月31日からは、JR山陰本線の米子―益田間を中心に運行しているラッピング列車「石見神楽列車」もリニューアル。石見神楽を代表する演目「大蛇」などが描かれていて迫力がある。タイミングが合えば乗車できるだろう。

浜田港で旬の魚のどんぶり

 山陰浜田港で水揚げされた旬の魚を堪能できる「くじら亭」(三隅町岡見661―1、℡0855・32・3142)は、その名の通り、くじら料理を味わえる店。エビフライ定食やその日とれた魚の煮つけなどのメニューで、地元客にも親しまれている。もちろん日本海の海の幸も味わえる。記者が食べたのは「漁師丼」。季節によって3~4種の魚が盛られた豪華などんぶりだ。この日は真イカ、クロダイ、ヒラソ(ヒラマサ)の3種で、お椀、香の物も付いて1000円(税込み)。コスパも抜群である。

「旬魚の刺し身を独自のしょうゆダレに漬けこんだ漬け丼です。甘味は控えめで魚本来のうま味を生かしています」(店主の次藤一成さん)

 刺し身定食は水揚げ状況によって提供できないことがあるので、事前に問い合わせるといい。

 浜田名物の「赤天」は酒に合う。

 魚のすり身に唐辛子を練り込んだ揚げかまぼこで、ピリ辛具合がクセになるご当地グルメだ。

(取材・文=小野真依子/日刊ゲンダイ)

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